先の研究では乱れのない系での磁気相転移の進行過程(磁気構造の時間変化)を直接観測した。本研究ではこれらの長時間変化のメカニズムや発現条件を時間分割中性子散乱測定によって解明した。まず長時間変化を示す物質に故意に乱れを導入した試料においても元の試料と同じ時間変化が観測されることを示し、長時間変化が物質固有の性質であることを証明した。次に磁気構造変化が「核生成・成長型」の進行過程を経る事を示した。ある混晶系の相転移では長時間変化と(早過ぎて実時間観測不能な)通常の変化が共存し、その比率が組成によって連続的に入れ替わる事が確認された。これは長時間変化の起源を探る重要な手がかりになると考えられる。
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