コバルト酸化物Pr-Ca-Co-Oでは3価のCoイオンのスピン状態転移と同時に金属・絶縁体転移が1次相転移で起こる。本研究はこの転移の発現機構の解明を目的として実施した。得られた主な知見を以下に示す。1)SPring-8における放射光X線吸収分光実験からPr価数が転移をまたいで3価と4価の間で変化し、これが転移のトリガーとなること。また、Tbも価数変化を示すことを見出した。2)強磁場下ではこの転移が完全に抑制されることを初めて見出し、定常およびパルス磁場中における放射光X線吸収分光実験から磁場中においてもPr価数変化が転移と密接に関係していることを明らかにした。
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