研究課題
①非磁性基底状態の近藤半導体CeFe2Al10の電気抵抗は異方的な振る舞いを示す。この異方的な電気抵抗の圧力効果および磁場効果を調べ,20K以下のギャップは,a, b方向の電荷ギャップとa方向のスピンギャップで特徴付けられることを見出した。②CeRu2Al10のRuサイトを少量で置換すると,TN以下の磁化容易軸がcからa軸に変化することを以前報告したが,本年度はRhドープ領域を高濃度まで広げ,Rh置換効果の全体像を明らかにした。少量のRh置換で高温のキュリーワイス的な振る舞いが顕著になりモーメントはa軸を向くが,高濃度置換ではキュリーワイス的振る舞いがますます顕著になり,転移温度以下の低温で新しい磁気秩序が発生することを明らかにした。③局在スピン反強磁性体NdFe2Al10の磁気構造を中性子散乱実験により明らかにし,RT2Al10全般に共通して,c軸にそったジグザグ鎖上の最近接Rイオン間に強い反強磁性相互作用が働き,このジグザグ鎖がb軸方向に積層する構造を採ることを明らかにした。R=Ceでは単純な短周期であるが,第3近接R間相互作用の寄与により,それ以外のRではdiscommensurationを伴う長周期構造をとることを示した。④CeRu2Al10の磁気的性質を明らかにするため,AlのNQR,NMR測定を行いすでに報告した。本年度は,RuのNQRシグナルの観測に成功し,TN以下の分裂の様子,T1の温度依存性を明らかにした。⑤CeRu2Al10に存在するスピンギャップが置換によりどのように壊れていくかを低温比熱測定により調べた。スピンギャップの存在によりCeRu2Al10の小さい電子比熱係数がわずかなRhドープにより壊されていくこと,またスピンギャップが壊れるモーメントがc軸からa軸に変わることを明らかにした。一方,TNはRhドープ量とともに連続的に減少することを見出した。これから,スピンギャップの存否はこの系の高いTNの起源ではないことを示した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 13件、 謝辞記載あり 13件) 学会発表 (22件)
Phys. Rev. B
巻: 89 ページ: 224425-1-8
10.1103/PhysRevB.89.161103
巻: 90 ページ: 165124-1-4
10.1103/PhysRevB.90.165124
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 83 ページ: 104707-1-5
10.7566/JPSJ.83.104707
巻: 83 ページ: 103705-1-5
10.7566/JPSJ.83.103705
巻: 83 ページ: 094724-1-7
10.7566/JPSJ.83.094724
巻: 83 ページ: 084708-1-6
10.7566/JPSJ.83.084708
巻: 90 ページ: 041108(R)-1-5
10.1103/PhysRevB.90.041108
巻: 90 ページ: 161103(R)-1-5
J. Phys. Soc. Proc.
巻: 3 ページ: 011035-1-3
10.7566/JPSCP.3.011035
巻: 3 ページ: 011043-1-3
10.7566/JPSCP.3.011043
巻: 3 ページ: 011073-1-3
10.7566/JPSCP.3.011073
巻: 3 ページ: 012027-1-3
10.7566/JPSCP.3.012027
巻: 3 ページ: 014008-1-3
10.7566/JPSCP.3.014008