層状窒化物超伝導体に関する微視研究を走査型トンネル顕微鏡/分光法(STM/STS)及び破断接合トンネル分光法(BJTS)により行った。基本物理量の超伝導ギャップは、電子対平均距離以下のスケールで不均一に分布する事が明らかとなった。また、平均ギャップ値がBCS理論値より遥かに大きいのみならず、これがTcに依存せず一定である事を発見した。これらの事実から、電子状態の不均一性の抑制により、Tc が 30 K以上の高温超伝導が実現する可能性を指摘した。この一連の実験の再現性から、層状窒化物の超伝導電子状態が銅酸化物高温超伝導の特徴と類似しており、BCS機構とは著しく異なっていることが明らかとなった。
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