研究課題/領域番号 |
24540390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 譲 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (30342794)
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研究分担者 |
角 大輝 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40313324)
矢野 孝次 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80467646)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 数理物理 / カオス / ランダム力学系 / 雑音誘起現象 / 非線形時系列解析 |
研究概要 |
ノイズと決定論的力学の相互作用に伴う雑音誘起現象は非線形物理学では古くから研究されてきた問題です。例えば確率共鳴、ノイズ同期、雑音誘起カオスがその典型例です。近年付加ノイズ強度に応じて多重転移を示す現象(多重雑音誘起現象)、ノイズ強度に依存して軌道分布が多様な振動を起こす現象(統計的周期性)といった、これまでに知られていなかった雑音誘起現象が、広いクラスの非線形系に偏在していることがわかってきました。本研究の目的は「雑音誘起現象論」の体系化を進めるとともに、ランダム力学系において、「決定論カオス」に相当する複雑現象を概念化し、数理科学的に基礎づけることにあります。 (A) 様々な雑音誘起現象のメカニズムとその普遍性、現象クラスの分析 研究代表者の先行研究によると、多段回の雑音誘起転移を示す多重雑音誘起現象、軌道密度が振動する統計的周期性は興奮系で普遍的であることが予想されています。多重雑音誘起現象については軌道不安定性の数値解析を行いました。また統計的周期性についてはノイズ強度θでパラメトライズされたLasota-Mackey mapのTransfer演算子の固有値解析を行いました。 (B) 大自由度多スケール系の実験時系列解析 大自由度多スケール系の実験データとして(1)回転流体の表面運動(提供者:田坂裕二、北海道大学、飯間信、広島大学)、(2)ペダリング運動時の心肺リズム(提供者:松本和宏、ヤマハ発動機)、(3)ヒトの脳波(提供者:北城圭一、理化学研究所)についてランダム力学系モデルによる時系列解析をすすめました。(1)回転流体系からはノイズ付き間欠性写像が得られ、雑音誘起間欠性が観察されました。(2)生体リズムデータからはノイズ付きサインサークル写像が得られ、統計的周期性が観察されました。(3)脳波データについては結合振動子系によるモデリングを行っています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の「研究の目的」に記載した以下の二つの課題(A), (B)については、おおむね順調に研究が進んでいます。 (A) 様々な雑音誘起現象のメカニズムとその普遍性、現象クラスの分析については、当初の計画を遂行できました。現在結果を論文にまとめています。さらにいくつかの新たな雑音誘起現象がみつかっています。これらは2013年1月にデンバーで開催されたDynamics Days USにおいてポスター発表されました。 (B) 大自由度多スケール系の実験時系列解析については当初予定していた4つの実験データのうち、(1)回転流体の表面運動(提供者:田坂裕二、北海道大学、飯間信、広島大学)、(2)ペダリング運動時の心肺リズム(提供者:松本和宏、ヤマハ発動機)、(3)ヒトの脳波(提供者:北城圭一、理化学研究所)について解析を進めました。結果の一部は2012年10月にマヨルカで開催されたNOLTA2012で口頭発表されました。(4)真性粘菌の形態変化(提供者:青野真士、理化学研究所)のデータについては解析準備中です。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、以下の課題(A), (B)に取り組みます。 (A)多重雑音誘起現象、統計的周期性を含む様々な雑音誘起現象の普遍性とその現象クラスを研究します。主に数値計算により、発見的手法で解析します。 (B)大自由度多スケール系の非線形時系列解析を行い、実験データからランダム力学系を抽出します。 さらに、今年度から研究分担者の角大輝(大阪大学)、矢野孝次(京都大学)と協力して、 (C)ランダム力学系における複雑現象の諸概念構築と不変量の定式化を行います。ランダム力学系理論、複素力学系理論、確率過程論に基づき、様々なクラスの雑音誘起現象を数学的に分析します。 また、2014年2月に本課題と角大輝(阪大)の基盤研究(C)「ランダムな複素力学系および正則写像半群の力学系の研究」の協賛により、京大数理解析研究所において共同研究集会「ランダム力学系とその応用」を開催します。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に生じた未使用額については、分担者の角大輝(阪大)氏が実施する雑音誘起現象の複素力学系解析、同じく分担者の矢野孝次(京大)氏が実施する雑音誘起現象の確率過程論解析、の消耗品費の支払いに充てる。
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