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2012 年度 実施状況報告書

数学的に予言される2次元点渦系平均場方程式のm点爆発解の動力学的理解

研究課題

研究課題/領域番号 24540400
研究種目

基盤研究(C)

研究機関静岡大学

研究代表者

八柳 祐一  静岡大学, 教育学部, 准教授 (30287990)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードOnsager理論 / 2次元点渦系 / 絶対負温度 / 2次元乱流 / インバースカスケード
研究概要

β=-8πmで爆発するm点爆発解を動力学的に理解するためには,点渦系の時間発展シミュレーションにより得た平衡分布の温度βを知る必要がある。この方法について検討を行った結果,二つの方法で計測可能であることがわかった。一つ目は,1点渦がもつエネルギーψ_iに注目した度数分布から決定する方法である。この度数分布はexp(-βψ_i)に比例するので,度数分布の傾きからβを知ることができる。もう一つは,各点渦に隣接する他の点渦数を測定することにより,ローカルな渦度ω_iを測定し,(ψ_i,ω_i)をプロットする方法である。平衡状態における(ψ_i,ω_i)はBoltzmann-Poisson方程式に従うことが知られているので,同じく(ψ_i,ω_i)の分布の傾きからβを決定することが可能である。粒子数をパラメタとし,系の全循環を一定にしたシミュレーション結果についてβを測定したところ,ほぼ一定の値を得られたことから,測定した傾きはシステムパラメタであるβと一致することが強く示唆される。
また,時間漸近的に得た熱平衡分布について詳細を検討した結果,点渦の熱平衡分布は,流れ函数の等高線と渦度の等高線が一致するような分布になっていることがわかった。この結果について検討するため,運動論的方程式の立場から考察した結果,点渦系の運動論的方程式の右辺(衝突項とよぶ)には拡散項とドリフト項が存在し,熱平衡分布では両者が釣り合って衝突項=0となり熱平衡分布が実現されること,衝突項はH定理を満たすことが解析的に確認できた。ドリフト項はωに比例するため,正負点渦で符号が逆になる。これは2次元乱流におけるインバースカスケードを説明すると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

点渦系の拡散項に関する解析結果は非常に大きな成果であり,2次元乱流のメカニズムを明快に示していると考えるが,詳細な検討が必要だったため,想定外に時間がかかってしまった。

今後の研究の推進方策

点渦系の拡散項に関する解析的結果を踏まえ,今後は当初計画に沿って,
1. 数値シミュレーションによる,m点爆発解の構成
2. Campbellらの結果が数学的に予言されるm点爆発解になっているか否かの検討
3. 非中性プラズマ実験により得られたm点結晶解とm点爆発解の関係の検討
を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

購入したGPU計算機の維持管理(消耗部品の購入)に使用すると共に,共同研究者との研究打合せのための旅費,および成果発表の論文投稿料として使用する予定である。

研究成果

(10件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 学会発表 備考

  • [雑誌論文] 2次元点渦系の粘性に関する考察~運動論的方程式での連続解と粒子解~2012

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一,羽鳥尹承
    • 雑誌名

      京都大学数理解析研究所講究録

      巻: 1776 ページ: 163-173

  • [雑誌論文] Analytical derivation of diffusion coefficient of two-dimensional point vortex system with Klimontovich formalism2012

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Yatsuyanagi, Tadatsugu Hatori
    • 雑誌名

      RIMS Kokyuroku

      巻: 1798 ページ: 101-106

  • [学会発表] Equilibrium state for two-dimensional point vortex system with multiple temperatures

    • 著者名/発表者名
      Yuichi YATSUYANAGI, Megumi IKEDA, and Tadatsugu HATORI
    • 学会等名
      JSST2012 International Conference on Simulation Technology
    • 発表場所
      Integrated Research Center, Kobe Univ., (兵庫)
  • [学会発表] Observation of locally different temperature for equilibrium two-dimensional point vortex system

    • 著者名/発表者名
      Yuichi YATSUYANAGI, Megumi IKEDA, and Tadatsugu HATORI
    • 学会等名
      IUTAM Symposium on Vortex Dynamics: Formation, Structure and Function
    • 発表場所
      Centennial Hall, Kyushu University School of Medicine, (福岡)
  • [学会発表] 2次元点渦系の点渦分布に基づいた温度の決定

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一,池田恵,羽鳥尹承
    • 学会等名
      日本流体力学会年会2012
    • 発表場所
      高知大学朝倉キャンパス,(高知)
  • [学会発表] 点渦系におけるエネルギー保存則を破らない拡散効果

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一,羽鳥尹承
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      横浜国立大学常盤台キャンパス,(神奈川)
  • [学会発表] 異なる温度の部分系から構成される負温度点渦系の平衡分布

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一,池田恵,羽鳥尹承
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学東広島キャンパス,(広島)
  • [学会発表] 2次元点渦系で,エネルギーを保存するFokker-Planck型衝突項

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一,羽鳥尹承
    • 学会等名
      RIMS共同研究「偏微分方程式の背後にある確率過程と解の族が示す統計力学的な現象の解析」
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所,(京都)
    • 招待講演
  • [学会発表] 非平衡統計力学の対象としての点渦系

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一,池田恵,羽鳥尹承,際本泰士
    • 学会等名
      プラズマ科学のフロンティア2012研究会
    • 発表場所
      核融合科学研究所,(岐阜)
    • 招待講演
  • [備考] Homepage of Y. Yatsuyanagi

    • URL

      http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~eyyatsu/

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公開日: 2014-07-24  

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