研究課題/領域番号 |
24540408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
日高 芳樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70274511)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 時空カオス / 一般化Langevin方程式 / 液晶電気対流 / ソフトモード乱流 / 欠陥乱流 / 相関関数 / 記憶関数 |
研究概要 |
液晶電気対流では、液晶配向によって制御できる系の対称性の違いによって、制御パラメータが対流発生点に近いところで2種類の時空カオスが現れる。液晶配向が電極に平行で連続回転対称性が強制的に破れているプレーナー配向系では「欠陥乱流」が、電極に垂直で連続回転対称性が自発的に破れているホメオトロピック配向系では「ソフトモード乱流」が生じる。H24年度の実施計画では、両時空カオスに対して、Euler的観点、すなわち時空カオス・パターンを観測し、その空間Fourierモードの時系列から相関関数、記憶関数を求める予定であった。ソフトモード乱流については計画どおり得ることができ、非Markov的な記憶がソフトモード乱流特有の長波長パッチ構造に由来していることを明らかにした(論文として公表済み)。 しかし欠陥乱流については、相関関数を求めることはできたが、記憶関数はまだ得られていない。相関関数に、欠陥乱流を生じる対流と液晶配向の相互作用によるHopf不安定性を反映した振動成分が含まれているため、ソフトモード乱流とは別の手法が必要となることがわかったためである。一方で、当初の計画にはなかったが、欠陥乱流の特徴を抽出した位相記述を試みており、位相ダイナミクスの時間・空間の相関関数を得て、欠陥乱流の揺らぎの特徴を明らかにしている。 また、実施計画ではH25年度に行う予定であったソフトモード乱流のLagrange的観点からの研究に取りかかっており、非熱的Brown運動を示す微粒子の速度の相関関数を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で最も重要な、実験データから記憶関数を得るデータ解析の手法について、ソフトモード乱流にのEuler的観点対して成功したため、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、欠陥乱流を対象として、相関関数に振動成分が含まれている場合の記憶関数の求め方を確立する。 現在は、Euler的観点とLagrange的観点を独立して研究しているが、最終的には両者の結果を比較・融合し、時空カオスすなわち非平衡開放系特有の散逸構造が示すマクロな揺らぎが、輸送現象にどのような影響を与えるかを統一的に理解することを目指す。 また、外場応答の研究も進め、時空カオスの揺動と応答の関係を明らかにすることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
液晶電気対流の実験に必要な消耗品(液晶、電極付きガラスなど)加え、Lagrange的観点からの測定に必要な粒径分散の小さな微粒子を購入する予定である。また、大量の動画データの保存が必要なので、デジタルストレージ(HDD)も必要となる。 研究成果を学会等で発表するため、また、研究協力者との議論のために旅費が必要である。
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