1. 量子グラフ特異節点でのスケール不変な散乱行列のなかで、節点から出る端子の交換に対して「モデュラー対称」なもの、すなわち散乱振幅の絶対値が交換対称なものを考えて、その物理的性質を詳細に調べた。それが「自由接続」条件から「無反射等透過」にいたるあらゆる領域を滑らかにつないで記述する事を見出した。
2. 上記の交換対称なスケール不変な特異節点を記述するものを数学的にみると、「エルミートにしてかつユニタリー」な次数nの正方行列のうちで、モデュラー対称なサブクラスを列挙分類する問題である事を見た。 ここで行列を特徴づける量として、行列の対角要素と非対角要素の大きさの比d、対角要素中の正であるものの数np、の二つがあつことを見た。このサブクラスが、d=1、d=0の特殊な場合として、それぞれアダマール行列、カンファレンス行列を含む事を見出した、モデュラー対称なユニタリーかつエルミートな行列が、次数nを定めたときに、いかなるdで存在するか、そのようなもののうちで実なものは、いかなるdで存在するか、という問題が、アダマール予想の問題の一般化した設定になっている事を見出した。
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