研究課題/領域番号 |
24540416
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
木田 重雄 同志社大学, 高等研究教育機構, 嘱託研究員 (70093234)
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研究分担者 |
清水 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20550304)
後藤 晋 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40321616)
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キーワード | 歳差回転球 / 歳差回転楕円体 / 流れの安定性 / 局所攪乱 |
研究概要 |
歳差回転球内の定常流の安定/不安定境界を直接数値シミュレーション、理論解析、および実験によって調べ、相互の比較を行なっている。この系の流れの様相を特徴づけるパラメターはレイノルズ数 Re とポアンカレー数 Po で、この2つのパラメターの全領域にわたっての安定特性を解明することが主要な目標である。有限のパラメターに対しては数値シミュレーションで 1000<Re<5000、0.06<Po<1.9 の範囲で計算している。境界を表す点は数百に及び、また1点を求めるのに数週間を要する大変大掛かりな計算であるが、境界はほぼ確定している。境界を決める不安定モードの種類は20ほどあることがわかった。これについては2014年度に継続して完成させる。 歳差回転球体流れの定常流の安定性について、最近我々は室内実験と漸近解析によってこの安定/不安定境界の漸近枝がPo=21.25Re**{-0.8} であることを発見した。この境界を決める不安定モードは従来から知られている大域攪乱(球内全体で変動する)のではなく、円錐剪断層に局在化した局所攪乱という新しいタイプの不安定モードである。 流体に雲母などの光沢のある扁平な微粒子を多数浮かべてレーザー光線を照射し、粒子からの反射光で作られる明暗模様から流れの構造を探るのはよく使われる可視化法である。われわれはこの方法で歳差回転球内流れを可視化し、理論解析も行い、明暗模様が形成される方法を明らかにした。さらに、この明暗模様は速度場の自転軸まわりに軸対称な成分が主要な役割を演ずることに着目し、その分布を理論的に求めるとともにDNSでも確認した。 容器の形状が球よりもっと一般的な回転楕円体の場合の定常流の解析も行った。巧妙な座標変換で内部領域と境界層の流れを解析的に求めることができた。歳差回転楕円体内の流れの振る舞いから歳差回転球の流れの特異な性質が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最重要課題は、歳差回転球内流れの定常流の安定境界を系を特徴づけるパラメターの全範囲にわたって確定することである。われわれは、この作業を数値計算、実験および理論解析の3つの方法を用いて行なっている。この3つの方法は互いに相補的であり、それぞれがパラメターの異なる範囲をカバーする。数値計算はパラメターの値が比較的小さい範囲に適しており複雑な安定境界を詳細に確定することができる。この計算をわれわれは12個のジョブを毎日続けて走らせることによって進めている。平均しておおむね2週間ごとに安定境界の一点が定まるという大計算を着実に進めている。理論解析については、安定境界の一方の端(Re >>1, Po <<1)の漸近枝が求まり実験値と一致することが確かめられた。他方の端(Re>>1, Po >>1)も類似の方法で解析できると思われる。加えて、予期しなかったことであるが、球に比してはるかに解析のむずかしい楕円体内の流れの解析解を発見したので、当初の計画からの大幅な展開も考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画が順調に進んでいるので、定常流の安定性の数値計算および理論解析を継続して行なう。球の拡張版である回転楕円体の研究も並行して進める予定である。解析解の吟味、計算プログラムの作成、楕円体を用いた実験の準備を始めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は海外および国内の研究機関からの招待旅費の援助を受けて研究発表等をする機会に恵まれたため、本助成金の成果発表旅費を節約することができた。また研究論文を掲載料が無料のジャーナルで公表できたので研究成果費用を節約することができた。 海外および国内での成果発表の機会を当初の計画より増やしその追加旅費として、また研究発表論文のジャーナルへの掲載料として使用する予定である。
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