研究課題/領域番号 |
24540420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三宅 隆 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30332638)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 第一原理計算 / スピン軌道相互作用 / 密度汎関数法 |
研究概要 |
本課題は電界下でのスピン軌道相互作用効果に関する第一原理計算手法の開発と応用を目的とする。鍵を握る技術要素として相対論的密度汎関数理論、電界効果、ノンコリニア磁性、磁気異方性、最局在ワニエ関数が挙げられる。これらの技術要素を組み合わせた汎用的なプログラムは世界的にも希少である。プロジェクト初年度のH24年度は、以下のようにQMAS(http://qmas.jp/)の整備を行った。fully relativisticなプログラムではノンコリニア磁性が自然に導入され、自由度が多くなるため自己無撞着計算の収束性が困難になる。特に局在性の強いd電子、f電子に対する相対論的LDA+U法で収束が悪くなることがわかった。初期密度行列の設定や電荷混合の機能整備を集中的に行い、相対論的LDA+U法の収束性を改善した。ついで、磁気異方性の計算手法開発を行った。スピンの向きを固定した計算を行い、方向の関数として全エネルギーをプロットすることによりユニットセルあたり数meV以下の精度の計算を可能にした。現在、FePtやCoPtなどのL1_0型物質への適用計算を遂行中である。今後さらなる収束性の改善のため軌道磁気モーメントの制御を行う。また、より簡便な磁気異方性の計算手法として、軌道磁気モーメントに基づいた計算法の開発を計画している。H25年度は本年度開発した機能と電界効果機能を組み合わせ、遷移金属化合物への応用に着手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調である。当初、電界効果の計算機能をはじめに整備する予定であったが、相対論的LDA+U法の収束性の問題が深刻であることが判明し、順序を変更した。この問題をほぼ解決したので適用計算に着手できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
計算のボトルネックとなるのは電界下でスピンを制御するプログラムである。H25年度はESM法により電界をかけた系で磁気異方性を計算するプログラム整備を行い、その後で遷移金属系への適用計算に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
全額計算機使用料に使用する.
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