本年度は,セシウム原子とルビジウム原子の二重磁気光学トラップの準備を行う一方,セシウム原子を操作する半導体レーザー光源について,不調であったので詳しく調査した. 前年度にはセシウム原子のレーザー冷却を行うレーザー装置を安定に制御するための電気回路を作成し,実際にレーザー装置を安定に制御できることを確認した.また,レーザー冷却に必要な半導体テーパーアンプを組み立てた.また,実験に必要な,大きな光学除振台を譲り受けることができた.これにより,セシウム原子とルビジウム原子の二重磁気光学トラップを行う準備ができた. しかし,ここで,セシウム原子を操作するレーザーの光源である半導体レーザーが不調となった.半導体レーザーは経年劣化があることが知られており,780 nm のルビジウム用半導体レーザーでも劣化するが,我々の852 nm半導体レーザーは劣化が早かった.また,これを取り替えるために852 nm半導体レーザーを新たに購入したが,製品毎に波長のばらつきが大きかった.これは,780 nmの半導体レーザーがCDプレーヤーなどの民生用に製造されており,研究・開発が十分に行われて品質が高い一方,852 nmは研究用として作成されており,製造工程が洗練されていないためだと思われる. こういったことに対応するため,852 nm半導体レーザーの性能に関して熟知する必要を感じたため,外部共振器型半導体レーザーが温度や電流に関してどのように変化するのかを詳細に調べた.
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