研究実績の概要 |
本研究は経路干渉計法を用いた光子対の軌道角運動量もつれ合い状態検出の特徴を実験的に明らかにすることを目的としている。経路干渉計法は従来法のホログラムシフト法と比べて観測基底から対象外成分を効果的に排除することが特徴である。平成27年度は外部共振器付き半導体レーザーによる励起光源の改良を行った [Miyamoto et al., OIE '15 (2015)]。複屈折結晶中で光渦が複雑な偏光分布に発展する過程の定量指標の理論を確立し、実験との比較を行った [Miyamoto, Correlation Optics (2015)]。さらに軌道角運動量をもつ光の定在波について理論的に明らかにした [Vyas et al., Opt. Express (2015)]。 期間全体の実績を以下にまとめる。 当初の計画では両ホログラムシフト法とハイブリッド法の比較を行い、完全な Einstein-Podolsky-Rosen 型の実験に進む予定であった。両ホログラムシフト法の実験と理論の比較を行い、対象外成分がもつれ合いの評価に与える影響を明らかにした [Miyamoto, LPHYS '13 (2013)]。実験系を設計・改良し、検出用ホログラムの歪みを一桁減少させ [Miyamoto et al., Opt. Rev. (2013)]、励起光源を開発した。これらの成果をもとに今後ハイブリッド法以降の実験を進める予定である。 さらに、光ビーム断面内の角運動量分布の定量評価手法を確立し [Miyamoto et al., J. Opt. (2013)]、これを発展させた新たな研究に着手しつつある。また、複屈折結晶中で光渦が複雑な偏光分布に発展する様子の観察手法を提案・実証し [Brundavanam et al., Opt. Express (2012)]、本過程の定量的な指標を確立した。
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