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2013 年度 実施状況報告書

ゲル破壊現象における溶媒効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24540432
研究機関横浜国立大学

研究代表者

田中 良巳  横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (10315830)

キーワードソフトマター
研究概要

平成25年度は,以下の4項目の研究を実施した(最初の3項目はアクリルアミドゲル,最後の項目にはジェランガムゲルを用いた).(1)進展中の亀裂先端にグリセリン,エチレングリコール,1及び2-プロパノール,t-ブチルアルコール及びこれらと水との混合溶媒を添加する実験,(2)前年より行ってきた亀裂先端へのエタノール添加によって生じるスリップ-スティック的亀裂進展の解析,(3)破壊の駆動を停止した場合の引裂力の緩和実験.(4)ジェランガムゲルに対する破壊エネルギー計測。
研究(1)においては,各種溶媒がアクリルアミドゲルの破壊進展に及ぼす効果は,i) 破壊エネルギー低下型(水),ii) スリップ−スティック型(エタノール等),iii) 破壊エネルギー増加型(グリセリン等),の3パターンに分類できることが示唆された.(研究2)においては,引裂力の振動パターンが規則的なモードとランダムなモードの重ね合わせであること,亀裂速度Vが1mm/s程度の時を境にして,引裂力の振動パターンが有意に変化すること見いだされた.(研究3)においては,破壊の駆動を停止したとき,10〜20秒程度の特性的時間で引裂力の緩和が起きることが見いだされた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

第一義的な測定対象であったアクリルアミドゲルに関しては,種々の溶媒が亀裂進展に及ぼす影響について系統的に調べることがで,溶媒効果の基本的分類を行うことができた.ただし,結果の溶液論的な観点からの検討は十分には進展しなかった.また当初予定していた亀裂進展モードに関する画像処理的手法を用いた解析も,予備的なデータ採取にとどまった.他のゲルに対する破壊実験もジェランガム一にとどまった.一方,本研究実施中に,ゲルの破壊エネルギーの破壊速度依存性を,「亀裂進展を停止させたときの破壊駆動力の緩和と関連づける」という着想を得た.これによってゲルの破壊強度の問題を,ゲル共同拡散ダイナミクスといった一般的な問題と関連づけられる可能性が見えて来た.

今後の研究の推進方策

アクリルアミドと種々の溶媒の熱力学的相互作用に関する文献調査を系統的に行い,これまでに得られた結果をより深く考察する.スリップ-スティック的亀裂進展の研究に関しては,実験系の改良,特に力計測と亀裂進展の記録動画との対応付けを行い,自励振動系現象の定量的研究への展開を目指す.アクリルアミドとは別種のゲルを用いた溶媒効果研究の対象としては,これまでに空気中での破壊エネルギー測定がなされたコラーゲンゲルおよびポリビニルアルコール(PVA)ゲルを試料として用いる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 相分離と破壊の競合によるスティック スリップ現象2013

    • 著者名/発表者名
      吉田岳,矢野智嗣,佐藤勝彦,山口哲生,田中良巳
    • 学会等名
      日本物理学会2013年秋季大会
    • 発表場所
      徳島大学
    • 年月日
      20130925-20130928

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公開日: 2015-05-28  

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