研究実績の概要 |
化学ゲル(主に用いた試料は,モノマーの水溶液から合成されたas prepared のアクリルアミドゲル)の破壊エネルギーG(V)(Vは亀裂進展速)と,亀裂に注入した各種溶媒の物理化学的特徴との相関を調べ,以下のような結果を得た。 挙動A)アクリルアミドの良溶媒である水を注入した場合,小さな亀裂進展速度におけるG(V)の値が,空気中の破壊に比べて低下した。挙動B)エチレングリコールやグリセリなど,水以外の良溶媒の注入では,速い破壊(V>10mm/s)でのG(V)を増加した。挙動C)ゲルに強い偏析を引き起こすエタノール等の貧溶媒を注入した場合,亀裂が停止と急激な進展を繰り返すstick-slip的な亀裂進展モードが観測された。また,振動する引裂力を平均して算出したG(V)は,空気中や良溶媒滴下での値に比べ大きくなった。 挙動B)に関して,水膨潤ゲルをエチレングリコール等に浸漬した時に起る時間的に非単調な体積変化との関係が強く示唆された。また,挙動C)のstick-slip的な亀裂進展を自励振動現象とみて,振動パターンの実験的制御を試みた。Vだけでなく,試料の形状に応じて振動パターンが変化する事が見いだされた。 また,アクリルアミド以外の化学ゲルでも同様な実験を行い現象の一般性を検討した。研究開始当初予定していた,物理ゲル(アルギン酸,ジェランガムゲル,ゼラチンゲル)での測定は,破壊実験に適したサイズで一様なゲルを作成するのが困難であり,十分な実験的を行う事ができなかった。
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