ガラス転移の分子論的機構は、未だに解明されていない問題である。本研究は、ガラス転移のα過程緩和時間が、試料温度の素早い変化に対して、新しい温度の値まで変化するのに要する時間(tau_tau)とその温度依存性を実験的に調べることで、ガラス転移機構の解明を目指そうとするものである。代表者の研究室で開発した、温度変調非線形誘電測定装置を用いることにより、tau_tauがガラス転移温度付近で1 s程度であり、温度依存性はArrhenius型に近いことを見出した。この発見は全く新しい知見であり、ガラス転移機構解明に大きな刺激になる。
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