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2013 年度 実施状況報告書

弱電解質の拡散によって駆動される荷電コロイドのダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 24540440
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

奥薗 透  名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10314725)

研究分担者 山中 淳平  名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80220424)
キーワード荷電コロイド / 弱電解質 / コロイド結晶 / 数値シミュレーション
研究概要

本研究の目的は、弱塩基の濃度勾配下における荷電コロイドのダイナミクスを記述する連続体モデルを構築し、弱塩基拡散場中における荷電コロイドの結晶化のメカニズムおよび解離反応を伴う電解質の輸送現象に関する物理的理解を得ることである。
本年度は昨年度につづき、荷電コロイドの連続体的記述に関する知見を得るため、弱塩基拡散場中における高分子電解質ドメインのダイナミクスを記述するモデルを構築した。このモデルでは非一様な電荷分布をもったドメインのダイナミクスのシミュレーションが可能である。また、コロイドサイズでは流体力学的な効果がダイナミクスに影響を与える可能性があるため、流体力学を考慮して速度場を導入した。
上記のモデルに基づいて、非一様な弱塩基濃度場中での高分子電解質ドメインのダイナミクスに関する数値シミュレーションを行った。その結果、弱塩基濃度勾配下において電解質ドメインが移動することが確認できた。移動の方向は高分子の拡散係数と相対的な粘度(ペクレ数に相当)によって反転することが分かった。また、相対的に粘度が低い場合には、ドメインが大きく変形することも示された。
以上の結果は、弱塩基濃度勾配下において生じる非一様な電荷分布が、高分子電解質ドメインを駆動し、流体力学的モードと結合することを示唆している。このことは、弱塩基勾配下における荷電コロイドのダイナミクスを検討する上での重要な知見であると考えられる。
また、温度勾配下における荷電コロイドの結晶化についても実験的に検討し、温度勾配によって誘起される非一様な電荷分布が結晶化過程のダイナミクスに顕著な影響を及ぼすことを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

荷電コロイド粒子系のダイナミクスを粒子レベルで記述する連続体モデルの構築に向けて、高分子電解質ドメインのダイナミクスのモデルによる数値シミュレーションを行い、非一様な電荷分布により流体力学的モードが誘起されることを示した。このモデルにおいて強偏斥の極限で剛性をもつような場合には、コロイド粒子系と同じ振る舞いが期待されるので、この結果は、今後、非一様な弱塩基濃度場中の荷電コロイド粒子系のダイナミクスを考察する上で重要な知見である。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により、単一のドメイン内およびその周辺の非一様な電荷分布が流体力学的なモードを誘起し、ドメインの移動に寄与することが分かった。今後は、高分子電解質ドメインがコロイド粒子と見なせるような極限でのダイナミクスを考察する。また、多数のドメイン/粒子がある場合の集団的な運動について議論し、実験との比較を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Exclusion of impurity particles in charged colloidal crystals2014

    • 著者名/発表者名
      Koki Yoshizawa, Akiko Toyotama, Tohru Okuzono and Junpei Yamanaka
    • 雑誌名

      Soft Matter

      巻: 10 ページ: 3357-3361

    • DOI

      10.1039/c3sm52912f

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recrystallization and Zone Melting of Charged Colloids by Thermally Induced Crystallization2013

    • 著者名/発表者名
      Mariko Shinohara, Akiko Toyotama, Misaki Suzuki, Yukihiro Sugao, Tohru Okuzono, Fumio Uchida, and Junpei Yamanaka
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 29 ページ: 9668-9676

    • DOI

      10.1021/la401410g

    • 査読あり
  • [学会発表] 塩基濃度勾配下における高分子電解質ドメインのダイナミクス2014

    • 著者名/発表者名
      奥薗透、豊玉彰子、山中淳平
    • 学会等名
      日本物理学会第69回年次大会
    • 発表場所
      東海大学湘南キャンパス(神奈川県平塚市)
    • 年月日
      20140327-20140327
  • [学会発表] 弱電解質拡散場中の高分子電解質ドメインのダイナミクス2013

    • 著者名/発表者名
      奥薗透、豊玉彰子、山中淳平
    • 学会等名
      ソフトマター研究会
    • 発表場所
      首都大学東京(八王子市)
    • 年月日
      20131215-20131215
  • [学会発表] Dynamics of polyelectrolyte domains under a gradient of weak electrolyte concentration2013

    • 著者名/発表者名
      Tohru Okuzono, Akiko Toyotama, and Junpei Yamanaka
    • 学会等名
      International Soft Matter Conference
    • 発表場所
      ローマ大学(ローマ、イタリア)
    • 年月日
      20130918-20130918
  • [図書] Pattern Formations and Oscillatory Phenomena (Chapter 5)2013

    • 著者名/発表者名
      Shuichi Kinoshita ed., Junpei Yamanaka, Tohru Okuzono, and Akiko Toyotama
    • 総ページ数
      263
    • 出版者
      Elsevier

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公開日: 2015-05-28  

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