研究課題/領域番号 |
24540442
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
高須 昌子 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (50202148)
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研究分担者 |
森河 良太 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70266899)
宮川 毅 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (40287462)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シミュレーション / タンパク質 / 繊維化 / 分子動力学 |
研究概要 |
平成24年度はタンパク質の繊維化のシミュレーションに重点を置いて研究を行った。 タンパク質に対して、天然構造を維持したまま繊維化させることをめざし、疎水性相互作用を反映させて自発的に重合する繊維を設計している。繊維のユニットとなるタンパク質として、大腸菌Lac repressorのC末端を模倣した人工タンパク質LARFH, 超好熱菌由来のタンパク質スレリスリン、そして3-イソプロプルリンゴ酸脱水素酵素(IPMDH)を用いた。荷電アミノ酸の変異を導入することにより、繊維の伸長方向を固定することを試みた。たとえば、LARFHにおいては、疎水コアの外側のタンパク質表面に正(負)電荷を持つリジン(グルタミン酸)の変異を導入したものを用いた。本研究では、実験では確認できないミクロな挙動を、計算機的手法を用いて解析し、ナノ繊維として安定姓の高い条件(変異の導入法、タンパク質の組み合わせ、溶媒など)を探索した。 全原子モデルの分子動力学シミュレーションを行い、アンブレラサンプリング法により、野生型においては疎水性相互作用が、変異型においては静電相互作用が安定性に寄与していることがわかった。 粗視化モデル(MARTINI力場)のシミュレーションを行い、野生型の法が比較的早い段階で凝集体を形成することがわかった。また、スレリスリンには金属イオンが含まれているが、これらの金属イオン近傍における電子状態をMOを用いて計算した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のように、タンパク質の繊維化のシミュレーションによる研究が進んだ。実験研究者との打ち合わせも進み、成果を上げることができた。学会発表および論文発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、前年度のタンパク質の繊維化のシミュレーションとその解析を進めると同時に、細胞接着ペプチドのシミュレーションを中心に研究を進める。平成24年度に購入したシミュレーション用コンピュータを活用すると同時に、解析用コンピュータを購入し、活用する。 ラミニン211と呼ばれるタンパク質から人工的に作成したペプチドに関して、鎖状の場合と環状の場合の安定性の違いを研究する。元のタンパク質から活性のある部位を取り出してペプチドが連携研究者の研究室で作られているので、取り出した部分を環状にした場合と端を連結しない場合に関して比較を行い、構造の安定性を調べる。他の細胞接着ペプチドについても同様に研究する。さらにアミノ酸変異がある場合にどのような構造変化を取るか計算によって研究する。 2年間に得られた結果を元に、解析も進めていく。個々のテーマの結果を包括的に議論して、ゲルやポリマー系の統計力学的性質との比較を行う。平成25年度までの成果を学会などで発表する。研究の過程において、他大学の研究者を招聘してセミナーを開催し、専門的知識の提供を受ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は解析用コンピュータを購入して、平成24年度および25年度に得られたシミュレーションの結果を解析する。 また、シミュレーションの基礎となる数値解析の方法に関して、専門家にセミナーを依頼する。そのための交通費および謝金を使用する予定である。また共同研究者との研究打ち合わせのために、代表者および分担者の旅費を使用する。 研究成果は内外の学会で発表する。そのために、代表者、分担者、研究協力者(院生)の旅費を使用する。
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