研究課題/領域番号 |
24540444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
矢野 陽子(藤原陽子) 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70255264)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線反射率法 / タンパク質 / 界面 / 赤外吸収分光法 |
研究概要 |
タンパク質と界面の相互作用を知ることは、クロマトグラフィーによるタンパク質の分離・精製、食品や医薬品、人工組織や生体物質を使った新しい機能性材料の開発など、医学的および技術的応用の両面において非常に重要である。本研究では、固液界面に吸着したタンパク質の2次および3次構造をリアルタイムで可視化するための装置を開発する。2次構造の検出には全反射赤外分光法(ATR-FTIR)、3次構造の検出にはX線反射率法(XRR)を用いる。秒オーダーの時間分解能で固液界面に吸着したタンパク質の立体構造を観測することを目指す。そのためにエネルギー分散型X線反射率装置(ED-XRR)を新規に立ち上げ、23年度に近畿大学の研究費で購入したATR-FTIRと組み合わせる。 初年度に当たるH24年度は、以下の研究成果を得た。 (1) ED-XRR装置の製作 X線発生用高圧電源を購入し、白色X線を用いたエネルギー分散型X線反射率測定装置(ED-XRR)を製作した。性能評価としてシリコンウエハの反射率測定を行った。 (2) ATR-FTIR装置の評価 現有のATR-FTIR装置(サーモフィッシャーNicolet iS5 FT-IR)の使い方に慣れるために、タンパク質水溶液の測定を行い、測定および解析方法を確立した。また卵白の温度変化測定も試み、熱変性の過程を捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) ED-XRR装置の製作 X線発生用高圧電源を購入し、白色X線を用いたエネルギー分散型X線反射率測定装置(ED-XRR)を製作した。界面に対する入射角度は約0.1度程度であるため、入射側および受光側にスリットを2枚ずつ配置したが、ビームの発散角が0.1度より大きいことがわかった。来年度は試料位置にナイフスリットを設置してビームの平行化を図る必要がある。 (2) ATR-FTIR装置の評価 現有のATR-FTIR装置(サーモフィッシャーNicolet iS5 FT-IR)の使い方に慣れるために、タンパク質水溶液の測定を行った。タンパク質の濃度を変えて2次構造に由来するアミドIピークの解析を行ったところ、低濃度領域では、水蒸気の回帰線が重なって精度よく解析ができないことがわかった。来年度は、パージキットを購入して、窒素ガス雰囲気にする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
試料周囲の温度コントロール可能なED-XRR/ATR-FTIRシステムの構築 現有のATR-FTIR装置をZ軸大型ステージに載せ、H24年度で製作したED-XRR装置と高さを合わせる。2つの測定を同期させるように、コンピュータで制御するプログラムをLabViewを使って作成する。また、試料周囲に温度コントロールシステムを製作し、試料温度を-10℃から80℃の範囲で制御する。また以下の問題を解決する。 (1) ED-XRR装置:ナイフスリット設置による入射ビームの平行化 (2)ATR-FTIR装置:パージキットの導入によるバックグラウンドの安定化
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度繰越金(5,895円)は、測定試料の購入に用いる。 一方、2013年度の請求額 (直接経費:1300千円, 間接経費:390千円)は、ATR-FTIRパージキット、ED-XRR装置用ナイフスリット、温度コントロールシステム、装置のコンピュータ制御に関わる費用に使用する。
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