研究課題/領域番号 |
24540446
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋本 武志 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70283588)
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研究分担者 |
寺田 暁彦 東京工業大学, 火山流体研究センター, 講師 (00374215)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 火山 / リモートセンシング / 応用光学・量子光工学 / 可視化 |
研究概要 |
H2Oカメラの試作:噴気水蒸気検出用の分光カメラを試作するために,二酸化硫黄検出用として開発したカメラのレンズマウントを流用することを検討した.室内環境ではほぼ従来の知見と整合的な結果が得られているが,野外において実際の火山噴気に適用するにあたっては,対象物と光源の位置関係の問題に注意しなければならないことが予想された.そこで,まず相対的に知見の豊富なSO2カメラを使って,北海道の十勝岳および長野県の浅間山において,野外環境での噴気二酸化硫黄観測を試みた.その結果,濃い噴気の場合には,噴気前面からの反射光の影響が支配的となり,透過光の吸収を観測することができないことがわかった.同様の現象はH2Oについても想定されるため,野外観測の方法やこの手法の適用条件を再検討する必要がある. 噴煙運動の解析:噴煙の運動(特に上昇速度)を連続画像から客観的な方法で推定するために,PIV(particle image velocimetry)による流体解析のソフトウェアを購入した.まずは,草津温泉万代鉱の煙突から立ち上る噴気を撮影した可視動画に対して,このPIV解析を適用し,噴気の上昇速度分布がどのように検出できるのかを検討した.いくつかの解析パラメータを変化させてテストした結果,検出すべき噴気全体の巨視的な上昇速度を適切に得るためには,追跡するグリッドをある程度粗くするなどの設定が必要であることがわかった.噴気の細かい構造を追跡するやり方では,周縁部分の対流が捉えられてしまい,期待する結果が得られないことが確認された. 分光計測におけるエアロゾルの影響の検討: 噴煙エアロゾルに関するリモートセンシング技術の現状について情報収集を行うため,H25年3月に東京で開かれた第17回大気ライダー研究会に出席した.また,本科研費の研究分担者および連携研究者とともに,噴煙観測に関する情報交換会を東京で開いた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分光カメラを用いて噴気中の特定成分をリモートセンシングする手法では,対象物(噴気)と光源(太陽光)の位置関係に特に留意しなければならないことがわかってきた.このため,実際の火山噴気を対象とした野外観測では,室内環境での実験とは異なり,適切な測定結果が得られる条件がかなり限られてしまう.この点は,本研究計画作成時にはあまり留意していなかった事項であった.このため,H2Oカメラについては適切なオペレーションの方法から再検討が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
H2Oカメラ,SO2カメラについては,上記に述べた理由から,野外でのオペレーション方法について再検討を行う.これをかねて,当初の計画に従ってDOASとSO2カメラの同時観測を野外で実施する.PIVによる噴煙運動解析手法のノウハウをさらに蓄積するために,桜島や阿蘇山の噴煙画像を用いて上昇速度の推定を行う.可能であれば,SO2カメラやH2Oカメラの画像に対してもその手法を適用してフラックスを推定する.
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ定常的に噴気が放出されている阿蘇山もしくは桜島火山において,分光カメラとDOASの同時観測を実施する.このために観測旅費とレンタカーを使用する.昨年度までの関連成を,H25年7月に鹿児島で開かれる国際火山学地球化学会議(IAVCEI)でポスター発表の予定である.このための旅費を使用する.年度末に研究分担者と連携研究者を交えて,東京で検討会を開催する.
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