本研究では,固体地球のランダムな不均質構造における地震波動エネルギーの伝播過程を記述すべく,輻射伝達理論の高度化に取り組んだ.散乱物質がフラクタル的に分布すると考えることで,最大振幅やコーダ振幅が経過時間のべき乗に従って減少することを説明することが可能となった.火山直下では低速度の流体や溶融体の存在が示唆されているが,分布する低速度球による共鳴散乱を考慮した輻射伝達理論を構築することができた.任意形状の散乱体(不均質)が存在する場合,雑微動の相互相関関数からグリーン関数を導出するためには一般化された光学定理が満たされるべきことを明らかにした.
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