研究概要 |
磁性ナノ粒子の交流磁化率周波数依存性に関する理論的考察と実験を継続するとともに、時間領域での動的磁化過程を明らかにするための機器開発と基礎実験を行った。その結果、パルス磁場による短時間(~10ms)の磁化過程と同時に、磁場遮断直後の磁気緩和を計測することに成功した。このパルス磁場中の測定によって、ヒステリシスに相当するM-H曲線が得られ、従来の振動磁力計による方法よりもはるかに短時間で自然試料の飽和磁化や保磁力を測定することが可能となった。一方、付随する磁気緩和測定から求められる緩和時間は、広帯域交流磁化率測定から推定される特徴的周波数に対応することが分かった。これらの結果は、一部の火山岩の10kHz帯にみられる磁化率のピークが、多磁区粒子の磁壁移動に起因する磁気共鳴現象であることを強く示唆する。これら基礎研究の一方、中国黄土層を対象に磁化率周波数スペクトル研究をすすめ、最終氷期以降の全球気候変動の解明に役立つ高分解能の気候変動指標を提案した。この結果を論文としてまとめ、国際誌に投稿中である。 Kodama, K., 2013. Application of broadband alternating current magnetic susceptibility to the characterization of magnetic nanoparticles in natural materials, Jour. Geophys. Res., 118, 10.1029/2012JB009502 Kodama, K., Z. An, H. Chang, and X. Qiang, 2014, Quantification of magnetic nanoparticles with broadband-frequency magnetic susceptibility measurements: A case study of an upper loess/paleosol succession at Luochuan, Chinese Loess Plateau, Geophys. Jour. Int.(under review)
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