研究課題/領域番号 |
24540457
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40221593)
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キーワード | 地震計アレイ / 新燃岳 / 火山性微動 |
研究概要 |
昨年度までに研究目的で挙げた微動源特定の方法については我々が設置した地震計アレイでの推定限界を超えるために、複数のアレイデータが必要である。しかしながら、われわれが新たに設置した大幡アレイについては設置後に微動活動が見られなかったことから、処理に用いることができなかった。そこで、同時期に名古屋大学で設置された地震計アレイ、霧島山周辺に展開されている東京大学をはじめとする各機関の地震観測網のデータを用いることで検討を行った。その結果、二つのアレイを用いた解析で、微動源位置の時空間変化がとらえられた。 二つのアレイを用いることによる検出限界についての検討も行った。また、地震観測網のデータより、微動の発生メカニズムについての検討を行った。その結果、霧島火山の新燃岳火口に向かって北西部から、ほぼ水平に広がりを持つクラックが存在し、その振動によって微動が励起されているモデルを得ることができた。さらに、霧島火山で得られた観測・処理方法を試験的に適用するために、伊豆大島において霧島と同規模の地震計アレイを設置した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に挙げた項目のうち、霧島火山の微動活動のモデル化まではほぼ行うことができた。これは、複数の地震計アレイ、地震観測網のデータを併用することによって達成した。ただし、マグマ輸送過程のモデル化までには至っていない。また、モニタリングシステムの検証のための地震計アレイを伊豆大島に設置することによって処理システムの検討を行う準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、残された課題、すなわち霧島火山におけるマグマ輸送過程のモデル化・微動活動モニタリングのための手法開発、について取り組む。 輸送過程については、波形の解析をさらに進めることが必要である。特に地震計アレイ、地震観測網のデータを詳しく処理する。マグマの輸送プロセスは噴火の初期段階の微動活動変化が重要な情報を与える。そのため、データの品質は現在対象としている時期のものよりも劣悪ではあるが、ハーモニックな波動を発生した連続微動が発生する前の処理解析を試みる。これによって、輸送過程のモデル化を試みる。 モニタリングの手法開発においては、伊豆大島に展開した地震計アレイのデータを処理することによって、その問題点等を明らかにし、高度化を行う。伊豆大島においては微動は発生していないが、微小地震が多数起こっており、その波形中には地殻中での散乱波が見られる。これらの特性を把握することはモニタリングにとってもその適用範囲を広げる意味でも重要である。 平成26年度の研究費は上記の目的を達成するため、観測については消耗品、旅費、処理についてはソフトウェア等に充てる。また、学会等においての発表のための旅費に使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
フィールドと想定されている霧島山の活動低下のため、観測費用を節約することができた。また、計画にある観測システム構築のための伊豆大島における観測を平成26年度に行うため、経費の節減を行った。 平成26年度は火山性微動モニタリングシステムの初期段階における実用試験を行うため、伊豆大島におけるアレイ観測を行う。このための旅費、消耗品として使用する。 また、処理のための解析ソフトウェア開発のためのオペレーティングシステム購入に充てる予定である。
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