研究課題
1995年兵庫県南部地震以降、全国に整備された強震観測網により観測記録の蓄積が進み、震源から観測点までの地震動の理解も深まり、多くの地震動予測法が提案されている。その中でも経験的グリーン・テンソル法は、適用事例こそまだ少ないものの、今後の発展が大いに期待される方法である。本研究では、経験的グリーン・テンソル法の適用範囲をこれまでの周期1秒程度以上の長周期帯域から周期0.1秒までの短周期帯域に拡張し、震源近傍の広帯域地震動の予測法として高度化を図るとともに、適用事例や応用事例を示すことを目的とする。具体的な実施内容は、(1)経験的グリーン・テンソル法の高度化、(2)経験的グリーン・テンソル法による地震動シミュレーション、(3)経験的グリーン・テンソルを用いた地下構造モデルの推定、(4)実施項目に関する成果発表、以上の4項目に大別される。(1)に関しては、高周波数帯域の地震動予測において、各地震のコーナー周波数の違いを補正するためにω-2モデルを用いた補正法を取り入れ、その有効性を確認した。(2)に関しては、2001年兵庫県北部の地震や福井県嶺南地方の最近の地震を対象に、経験的グリーン・テンソルに基づく地震動シミュレーションを行った。(3)に関しては、経験的グリーン・テンソルに現れる後続波群を用いた地下構造モデルの推定を念頭においていたが、必要な地震記録が入手できなかったことから、記録入手を前提に開発したアレー解析法を常時微動記録に適用し、Rayleigh波およびLove波の位相速度の推定を実施した。(4)に関しては、国内学会、国際会議・シンポジウム、研究会等において多数の口頭発表を実施した。査読付き論文も投稿中である。このほか、研究実施期間が修了に近づいた時期に国内および海外の研究者らとの共同研究がそれぞれ始まり、本研究課題が終了した後も研究を継続し発展させる予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Japan Association for Earthquake Engineering
巻: 15 ページ: 未定(19頁)