研究課題/領域番号 |
24540465
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川島 正行 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (10281833)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 数値モデル / 前線 / LES |
研究概要 |
平成24年度は、LESを用いた前線の数値実験方法の確立を試みた。簡単のため、非断熱系を仮定し、雲微物理過程については考慮せずに実験を行った。 現状の計算機資源では低気圧に伴う前線全体をLESを用いて計算することは不可能であるので、これまで申請者が前線の理想化数値実験で用いてきた方法を踏襲して、計算負荷の小さな水平・鉛直二次元のモデルを用いて実験を行った。具体的には、水平格子間隔1km程度の非静力学モデルで東西・鉛直方向の領域を取り、二次元の領域で前線強化実験を行った。領域の幅は4千kmとし、これにより前線全体の構造、メソスケールの循環を大まかに再現した。次に二次元非静力学モデルの出力値を側面境界値、初期値として利用し、前線を含む東西方向に100km、鉛直方向に数km程度の領域について格子間隔50mのLESによる実験を行った。 格子間隔の粗いモデルにLESをネストする場合、モデルの境界で生じる数値的ノイズがLESの計算結果に影響を与えてしまうため、適切な境界条件の設定が不可欠である。そこで、見るべき領域の境界付近を中心とするLESモデルを別途走らせ、ノイズの影響の小さいモデル中央付近の出力値を改めて側面境界条件とするなど、ノイズの影響を極力軽減するための方法について検討を行った。これにより、二次元ではあるがLESによるある程度現実的な前線構造の再現が可能となった。 また、一方向に周期境界条件を課した準三次元のLESモデルによる実験と領域大気モデルによる低気圧全体の再現実験も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、LESを用いた前線の数値実験方法の確立は十分にできたと考えている。 しかし、計画していた前線構造を物理的に表現するために必要とされる空間解像度についての検討・考察までは行うことができなかった。この点で当初の計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に行った数値実験は、予備的なものであったため、主にパーソナルコンピュータを用いて行ったが、今後は計算をより速く実行し多数の実験を行うため、大規模な計算には北海道大学情報基盤センターのスーパーコンピュータを利用する計画である。また、研究成果を国内外の学会で積極的に発表することで、関連分野の研究者との議論を通して研究を推進させたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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