平成24年10月9日~11月19日のかけて、学術研究船白鳳丸によるKH-12-5次研究航海を実施し、東部北太平洋(西経145度)に設置していた係留系7系すべてを回収し、36個の流速計について1年強の時系列データを取得することができた。これまで西部北太平洋で得られている流速と比較すると、流速変動は明らかに弱いことがわかった。このことから、変動の大きさは西向きに増大していると予想され、ロスビー波的に西方伝搬していると思われる。 三陸沖で取得済みの5年強の流速時系列データについて、解析を進めた。この海域は南太平洋から北上してきた深層流がいったん東西の2分岐流に分かれたのち、再合流する海域であり、北緯40度では日本海溝のすぐ東に西側分岐流、その東に隣り合って東側分枝流が北上する。同時期に北緯40度に東西に配置された流速データと比較すると、38度付近での流速変動が40度付近での強流帯の位置と連動しており、変動が分枝流の流路変化につながっていることが確かめられた。一方、40度での流量は強流帯の位置にかかわらず、同程度の大きさであった。変動が渦的であることを示唆する。 層境界面が海底と交差可能な数値モデルの作成を行い、東京大学情報基盤センターのスーパーコンピュータFX10においてテストランを実施した。並列化を工夫することで、高解像度にした場合でも並列化数を上げさえすれば短時間で計算を終了することができるようになった。
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