研究課題
下部熱圏を含んだ気候モデルを用いて夏季中間圏極域夜光雲変動を研究した。初年度は、モデルに導入されている重力波のパラメタリゼーションの変更実験を行うことにより現実的な気候場を再現、モデル内の波動特性を調べることにより夜光雲が惑星波動、大気潮汐、および重力波動によって変動していることを示した。上記の結果では、夜光雲発生高度の鉛直方向の広がりが10km以上もあり、観測結果とは異なる。メタン酸化による水生成のプロセスを観測値に戻すようにしていたが、次年度ではより現実的な化学過程を考慮したモデルを開発し、メタン酸化による水蒸気生成の化学スキームを構築した。その結果、夜光雲の変動は初年度のものと同様な結果であるが、鉛直方向の高度の広がりは観測と同様のものが再現された。最終年度は、太陽放射11年変動の夜光雲への影響をみるために、太陽放射max時とmin時の数値積分を行い、計算結果の差を取ることで太陽放射11年変動の影響を調べた。熱圏の短波放射Strobelスキームの中で、Schumann-Runge連続吸収(125nm-175nm)での放射フラックスの値を太陽maxと太陽minの観測値に変更した。オゾンはmaxとminでの化学気候モデルの結果を用いた。熱圏では大きな高温偏差があり、観測と整合性がある。赤道域中間圏では3Kほどの高温偏差であり、オゾンによる短波放射の影響と考えられ、先行研究と比較して同様の値である。夏季中間圏の極域では夜光雲の生成する少し上の高度で低温偏差となり、観測結果と整合性が取れている。夏季中間圏では水蒸気量はおおよそ減少で、夜光雲生成の下層の方で正偏差となっている。夜光雲高度はSolar Max(Min)で下がっている(上がっている)らしいが、偏差の年々変動は大きい。一方、モデル結果では夜光雲発生高度はそれほど変化していない為、更なる研究が必要である。
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