研究課題/領域番号 |
24540474
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
内藤 望 広島工業大学, 環境学部, 教授 (90368762)
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キーワード | 氷河変動 / パタゴニア / カービング氷河 / ペリート・モレノ氷河 |
研究概要 |
2013年12月~2014年1月にかけて、連携研究者(北海道大学の杉山慎氏、澤柿教伸氏)らと協同して南米アルゼンチン共和国南パタゴニア氷原のペリート・モレノ氷河およびヴィエドマ氷河湖において現地観測を実施した。 観測内容としては、まずペリート・モレノ氷河消耗域において、GPS干渉測位による表面測量から氷厚変動を把握した。従来はトータルステーションを用いて10測点で評価していたが、平成24年度のトータルステーションとGPS併用測量の成果として得た従来の10測点の座標を含み、より広範な範囲をGPSキネマティック測量によりカバーした。このことで対象範囲の面的なマッピングが期待でき、氷厚変動把握の精度向上が見込まれる。ただし、実施した一部のキネマティック測量において、GPS受信機の不調により測位データの解析に失敗しているため、今しばらく検討が必要である。 またペリート・モレノ氷河の前面湖とヴィエドマ氷河湖においては、魚群探知機を用いた測深が連携研究者の主導により実施された。この他に、研究代表者が合流する前には、連携研究者らがウプサラ氷河の前面湖(水道)においても測深を実施している。これらは、本研究課題の核心といえる、過去の氷河末端変動に対する水理条件の復元につながるものであり、大きな前進と言える。 さらに、平成24年度に実施した観測の成果を共同研究者と分担してとりまとめ、3件の学会発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画のうち、氷河前面湖における測深については順調と言えるが、氷河末端部の流動速度およびカービング速度の評価の点において、残念ながら「やや遅れている」と評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
これまで同様に、連携研究者である北海道大学の杉山慎氏および澤柿教伸氏と綿密に連絡・相談しながら、本研究課題の遅れを取り戻しつつ、最終年度としての総まとめを目指す。 平成26年秋ころを目処として、別財源により北海道大学においてパタゴニアの氷河研究をメインテーマとした研究集会を計画しており、これを一つの重要な契機としてまとめを急いでいく。また年度内の論文執筆も目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
アルゼンチンにおける氷河湖測深調査に向けて、魚群探知機の購入(物品費)およびボート・チャーター経費(その他)を平成25年度の予算に計上していたが、連携研究者による別財源で賄えたため、40万円ほど使用せずにすんだ。 平成26年度の当初予算は、本研究課題の総まとめに向け、研究打ち合わせや研究発表のための旅費、論文発表のための英文校閲料(謝金)や論文投稿料(その他)を計上していた。 これらに加えて、データ解析のために新たな各種ソフトウェア(写真計測3Dソフト、グラフ作成ソフト、有限要素法ソフト等)の購入のため物品費が必要となっている。また場合によっては、不調が続いているGPS受信機のメンテナンス経費も必要となるかもしれない。次年度使用額は、当初予算には含んでいなかったこれらの経費に充当する計画である。
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