研究課題/領域番号 |
24540475
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
勝又 勝郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー代理 (80450774)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 南大洋 / 渦 / 鉛直拡散 / 水平拡散 |
研究実績の概要 |
平成 24 年度に行われた南大洋乱流現場観測のデータ解析と中層フロートによる南大洋の渦の解析を行った。 前者に関しては、データに予想以上に機械ノイズが多く発見され、その除去が難航している。ノイズに関する情報は観測機器のメーカにフィードバックする。ノイズの少ないデータから南大洋の鉛直拡散に関する解析を続行する。 後者に関しては、単純な渦の運動エネルギーを用いた解析を一歩進め渦応力の解析を行った。前者はフロート位置から推定される速度だけで解析できるが後者は温度データをもちいた解析が必要であり現在まで行われていない。そのため数値モデルによる推定しか存在しなかった。とくに南大洋は風によって海洋に注入される運動量が海底に輸送されるメカニズムとして渦が注目されており力学上興味深い。ここ 10 年程度のデータの蓄積によってようやく中層(1000 m 深)における渦応力の空間分布およびその時間変化が計算できるようになった。その結果、風応力も渦応力も領域平均すると 0.1 Pa 程度だが、風応力が海盆スケールの空間分布をもつのに対照的に渦応力は海底地形に局在した分布を持ちそのピークは 1.5 Pa を超えるものもある事が分かった。また、海底地形の西側に正、東側に負というダイポール分布を持ち、西風によって海洋に注入された運動量を効率よく固体地球に伝えている事が確かめられた。この分布は時間変化が少なく、風変動に対する南大洋の応答を考える上で海底地形に局在した渦応力が重要な役割を果たしている事が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現場観測データに予想以上の機械ノイズが存在して、その除去が難航しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現場観測データに関しては、ノイズの少ないデータから順次解析をすすめ平成 27 年度中の論文執筆を目指す。水平拡散・渦応力に関する結果は論文執筆中で、結果は 5 月の国内学会、7 月の国際学会などで発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析の遅れにより学会発表を平成 27 年度に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外学会での研究発表のための旅費および学会参加費に充てる。
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