海洋大循環の強度に影響を与える南大洋の鉛直・水平の混合拡散を観測した。投棄型流速微細構造プロファイラを用いた現場観測は通信用光ファイバの不調により限られたデータしか得られなかった。アルゴフロートを用いた水平拡散の観測は二つの物理量の空間分布を明らかにした。第一に上層 1000 m の渦による水平輸送、第二に南大洋上の強烈な西風により注入された運動量が渦により海洋中を鉛直に伝播し海底地形に伝えられる量である。前者では南インド洋の強い北向きの渦輸送(南極モード水・中層水の北上メカニズム)、後者では南極環海流が海底地形を乗り越える限られた数箇所で大きな運動量伝播があることが示された。
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