研究課題
2014年5月に,マーシャル諸島でNASA,クレムソン大学と共同でロケット実験を実施した.高度100kmから上方には太陽光があり地上に太陽光がない19時地方時に,2機のロケットを約1分間隔で打ち上げ,熱圏下部と上部(電離圏E層とF層)の中性大気とプラズマを同時に測定した.クレムソン大学と共同で開発したリチウム原子放出機器とTMA放出機器による熱圏大気風と密度の測定を担当した.ロケットからリチウム原子とTMAを放出することにより熱圏大気にリチウム原子雲とTMA雲が形成された.これらの雲をロイ島,ロンゲラップ島,リキエップ島に配置した高感度CCDカメラと高感度ビデをカメラで同時に観測した.データ量は約1テラバイトになった.雲の移動と雲構造の変化から熱圏大気風と重力波を捉えることに成功した.高度~90kmから~300kmで10m/s以下の詳細な熱圏大気変動を高感度CCDカメラと高感度ビデオカメラで同時に測定したのは世界で初めてである.高度100km付近には約100m/sの熱圏大気風速のシアーが存在し,同じ高度領域にプラズマ密度変動も観測された.地上レーダーによる同時観測も同じ領域にプラズマ密度変動を捉えていた.ロケットにはプラズマと電磁波を測定する機器も搭載し,高度~90kmから~300kmでの熱圏大気とプラズマの同時観測に成功した.NASAとの共同実験は,平成24年度だけでなく,平成25年度の国内外の学会や研究会でも招待講演を依頼されている.熱圏大気とプラズマの相互作用に関する研究を大きく前進させる実験であり,当該分野の研究に対するインパクトは極めて高い.
1: 当初の計画以上に進展している
ロケット実験を計画通り実施した.ロケット搭載機器と地上観測機器はすべて正常に動作した.世界初の良好なデータを取得することに成功した.熱圏大気風と変動,プラズマ密度変動を同時に捉えることに成功した.国内外の学会や研究会で招待講演を行うなど,研究は計画通りに進んでいる.
約1テラバイトのデータ処理が終了したので,論文作成と研究の総まとめを行う.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
An Introduction to Space Instrumentation
巻: 8 ページ: 53-62
J. Geophys. Res.
巻: 118 ページ: 1-6
doi:10.1002/jgra.50508
Advances in Space Research
巻: 52 ページ: 1267-1273
10.1002/jgra.50144
10.1002/jgra.50099