研究課題
惑星間空間磁場北向き時の代表的現象であるシータオーロラの数値シミュレーションを行い、大規模沿磁力線電流と電離圏対流に関する新知見を得た。惑星間空間磁場朝夕成分が反転すると、プラズマシートの一部が極冠内を朝側または夕側へドリフトしてシータオーロラが形成されるが、その際進行方向後方に単極性の沿磁力線電流が現れる。電流の極性は、シータオーロラが朝から夕へ移動している場合には電離圏から出る電流に、夕から朝へ移動している場合には電離圏に入る電流となる。この沿磁力線電流は隣接するいわゆる領域1(region 1)電流系と電離圏内で閉じることにより、シータオーロラのドリフトを起こしている円型対流セルを励起する。沿磁力線電流を駆動するダイナモ(電磁エネルギーを生み出すもの)は、プラズマシート境界層のうち、惑星間空間磁場朝夕成分が反転する前の「古い」ローブに接しているところにある。ここでのプラズマ流と磁場構造を詳細に解析することにより、準定常ダイナモを作る基本過程を明らかにした。ダイナモのエネルギー源はプラズマの熱エネルギーであり、膨張する準定常磁気遅進波(slow mode)擾乱で解釈される。この過程に引き続き、磁気遅進波がアルフベン擾乱に変換され、沿磁力線電流が生成される。磁気圏ダイナモは磁気圏-電離圏結合の重要な要素である。以上の一連の過程は、シータオーロラに付随する沿磁力線電流だけでなく、一般の定常沿磁力線電流系への拡張が予想される成果である。
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Journal of Geophysical Research Space Physics
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