研究課題/領域番号 |
24540484
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 徳行 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00144692)
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キーワード | シェールガス / 残留ガス / メタン / 天然ガス / 四万十帯 / 基礎試錐 / 続成作用 / 変成 |
研究概要 |
本研究では、パルス放電ヘリウムイオン化検出器による全気体成分の高感度同時分析法を泥岩粉砕時に放出される残留ガス成分の測定に適用し、残留ガス成分の続成作用、変成作用における変化を解明する。また、シェールガス形成の温度圧力段階を明らかにし、日本におけるシェールガス鉱床形成の可能性を探ることが研究目的である。 平成25年度には四国試料(四万十帯、秩父帯、三波川変成帯より得た頁岩~泥質変成岩)と基礎試錐「三島」試料の残留ガス(岩石を粉砕した時に放出される残存するガス)分析をすべて完了した。平成25年度はガス成分の炭素・水素同位体組成の分析を中心に行った。その結果、残留ガスに含まれるメタンと水素の炭素・水素同位体組成分析をほぼ完了させることができた。 頁岩残留ガス中のメタン濃度が最大になるのは地温200―250℃であることが明らかになった。250℃以上では次第に12Cに富むようになり、メタンの炭素同位体比が小さくなってゆくことが示された。これはメタンのグラファイト化によるためと考えられる。これは同じ温度帯で水素の水素同位体比が次第に小さくなって行くことと矛盾しない。 これらの研究成果の一部は石油技術協会誌(石油技術協会誌,78(1),16ー27.)で公表した。また、2013年度国際有機地球化学会(International Meeting of Organic Geochemistry、2013)(テネリフェ、スペイン)にて口頭発表を行った。以前から予察的に進めていた北海道始新世石炭の熱熟成にともなう残留ガスの分析結果を国際学術誌(International Journal of Coal Geology, 127, 14-23)で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で予定していた50℃~600℃の古地温を経験した頁岩、変成岩試料中の残留ガス組成と、その炭素・水素同位体組成分析をH25年度中にほぼ完了することができた。また、当初の予定になかった石炭試料中の残留ガス分析を実施することができた。これらの成果を国際学会(国際有機地球化学会IMOG2013,スペイン、国際ガス地球化学会ICGG12、ギリシャ)にて発表した。また、研究成果の一部を石油技術協会誌、International Journal of Coal Geologyに投稿し掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
地下温度の増加(50~600℃)にともなう頁岩残留ガスの炭素・水素同位体組成の変化に関する研究成果をまとめて国際学術誌に投稿する。有機物に富む石炭を用いて、室内加熱実験により残留ガス組成と安定同位体組成の熱変化を予察的に検討する。地下深部における頁岩・石炭の残留ガス組成の熱変化を総括的にまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
謝金を支出せずに、試料採取と化学分析を実施することができたため。 最終年度の研究総括と論文発表に必要なデータ整理・図表作成に謝金を支出する 予定である。
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