研究課題
今年度は従来用いたサポナイトの結晶で粉砕方法をメノウ乳鉢に変えた実験,および実験方法としては昨年までの遊星型ボールミルを用いて物質をサポナイトからモンモリロナイトに変えた二つの実験を実施した.両者とも含水比と粉砕時間を変えて結晶の変化をX線粉末回折と電子顕微鏡観察,赤外分光などによって解析を行った.(1)メノウ乳鉢によるサポナイトの粉砕実験乾式と湿式(含水比を200%)の条件でメノウ乳鉢で粉砕実験を行った.乾式の場合は24時間程度でかなりX線回折のピークの強度が減少し,SEMによる観察や赤外分光などからも,非晶質化がかなり進行していることが示されたが,湿式条件では,全く非晶質化が進行しなかった.これは遊星型ボールミルを用いた実験と同様であり,粉砕様式による大きな違いはないことがわかった.SEM観察による鉱物の特徴は天然の断層ガウジとかなり似ていることがわかった.(2)遊星型ボールミルによるモンモリロナイトの粉砕実験従来よりも含水比を細かく変えて実験したところ,含水比が25%以下までは,数時間の粉砕で非晶質化が進行したが,それ以上の含水比になるとほとんど非晶質化が進行しなかった.25%という含水比は,モンモリロナイトのコンシステンシーの収縮限界に相当し,それ以上水がはいるとモンモリロナイトは塑性的にふるまうことが知られている.モンモリロナイト―水系においては,含水比が25%までは,ほとんど無水状態と同じようにふるまい,25%以上になると,固体―水系というよりは分散系としてふるまって個々の粒子には大きな衝撃がかかっていないと考えられる.このことは,モンモリロナイトを多く含む断層ガウジの摩擦特性を考えるうえで重要な視点である.
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