変形や変質の集中する断層コアに存在する微細粒子は断層の力学的挙動に大きく影響を与えている.本研究は断層物質の解析と粘土鉱物の粉砕実験の両面から微細粒子の性質の解明を進めた.天然断層物質の解析から粉砕の指標として粒径分布のフラクタル次元の有効性が確認されたほか,中央構造線では低温で形成された変質帯ほど断層コアに向かって分布が狭くなっていくことがわかった.粉砕実験では主として水の有無による違いを調べ,層間水を有するモンモリロナイトについて塑性限界を超える水を含むと粉砕や非晶質化が進みにくいことがわかった.また鉱物粒子の形状などは実験と天然の断層が似ていることも確認された.
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