研究課題/領域番号 |
24540489
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 泰広 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20362444)
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研究分担者 |
KYAWTHU Moe 独立行政法人海洋研究開発機構, その他部局等, その他 (10371725)
辻 健 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (60455491)
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キーワード | 活断層 / 応力 / 坑井 / 物理検層 |
研究概要 |
「応力場の局所的な不均一性を発生させている断層」は現世応力場によって断層面が滑動していることを示していることから、何らかのデータを使用して応力場が乱れている箇所を検出できれば応力的に活性な断層を認定することが可能となる。このようにして検出された「応力活断層」は一般に変動地形学から認定されている「(地形)活断層」とは異なる分布・形態である可能性がある。 研究初年度では、南海トラフの海底坑井で取得された物理検層データの中から孔壁イメージデータを用いて、データ上に認められた孔壁破壊現象の幅と方向から詳細に(数メートル精度)応力解析を実施した。その結果、反射法地震探査で認められている大規模断層帯の内部やその外側などに複数個所の応力活断層が存在している可能性が得られた。また、地質構造モデリングの一種である粒子法数値シミュレーションを実施して、南海トラフの坑井掘削箇所に近い地質環境を再現したところ、構造形成過程において内部応力が非常に変動することが検出された。 本年度は研究二年度目として、前年度に認定した孔壁破壊を使用して地下応力の絶対値を解析によって求めた。応力活断層では断層面に沿う方向のせん断力が解放されているであろうと考えられるが、解析の結果も応力活断層部では応力の絶対値が低下していることを示唆している。また、断層が存在する場合での孔壁破壊の場所変化について、粒子法シミュレーションを用いて検討を行った。その結果、断層面の存在によって孔壁破壊の場所が影響を受けることが確認された。これは実際の孔壁破壊現象でも観察されている事実と一致する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は当初の実施計画に掲げた2項目に沿って順調に作業が推移しており、それに伴って順調に成果が得られている。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は三次元粒子法シミュレーションを実施し、断層の存在による孔壁破壊の三次元的な影響を検討すると同時に、岩相変化による効果の検討も継続して、応力変動の原因を総合的に調査する。また、地質モデリングを実施して、構造形成過程における応力変動現象をより高精度に検出する作業を継続する。さらに他地域における事例研究を追加して、本研究成果の一般化について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
粒子法シミュレーションソフトウェアの更新に合わせて計算機を増強する計画であったが、更新時期が予定よりも遅れたため、主に計算機導入費に相当する分が未使用となった。 ソフトウェアはすでに更新されたため、新計算機は新年度早々に導入する方針である。
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