研究課題
徳島県中部地域において,北部秩父帯の内部構造とその上位に構造的に累重すると考えられるペルム紀付加体の境界について,野外踏査を行った.ペルム紀付加体とジュラ紀付加体の構造的関係とその境界の性状を正確に把握することは,温度構造や変成度を測定・理解する前提として重要である.徳島県那賀郡沢谷地域から雲早山地域の南北断面において踏査を行い,砕屑岩類が示す上位方向や海洋プレート層序が示す上位方向などに着目し,北部秩父帯の内部層序(フェルゲンツや年代極性)などの検討を行った.さらに南北方向の調査ルート(主に沢谷川)沿いに,古地温構造を見積もるために用いるイライト結晶度用の泥質岩試料の採取を行った.同時に,泥質岩類の面構造の発達程度や変形度に着目して,その観察と記載を行い,北部秩父帯では,より構造的下位(より北側)でその面構造が発達すること,沢谷周辺に分布すると考えられるペルム紀付加体において,密に発達する面構造が発達史,変成度が高いと考えられることが明らかになった.現在,採取した泥質岩について,イライト結晶度を測定するための試料調整を行っている.地形が急峻なこともあり,ペルム紀付加体とジュラ紀付加体の境界部分波については,十分に検討ができていないが,両紀付加体の変成度と変成年代の組み合わせおよび,踏査から境界を特定し,その性状について検討を行っていく予定である.また,ジュラ紀付加体(北部秩父帯)の内部構造(層序)が比較的明らかになっている一方で,ペルム紀付加体の内部層序はまだまだ不明な点が多い.この点についても検討を行っていきたい.
2: おおむね順調に進展している
北部秩父帯の層序断面はその概要を明らかにすることができており,ペルム紀付加体との境界とその内部層序,ペルム紀付加体とジュラ紀付加体の境界とその性状について着目し,野外での観察を実施することができた.
さらに野外踏査を進め,ペルム紀付加体とジュラ紀付加体の境界の追跡やその性状を明確にするとともに,温度構造や変成度の形態を明らかにしていく.
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Marine Micropaleontology
巻: 110 ページ: 8-24
10.1016/j.marmicro.2013.07.006
Journal of Asian Earth Sciences
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