本研究では徳島県沢谷地域において,北部秩父帯の内部構造,イライト結晶度による変成度,K-Ar放射年代による変成年代をもとに,北部秩父帯と黒瀬川帯との関係について検討を行った.砕屑岩の上下判定から,南部秩父帯は北傾斜で北上位,北部秩父帯は南傾斜で南上位を示す.北部秩父帯イライト結晶度は,黒瀬川帯や南帯に対し変成度が高く,構造的下位に向かって変成度が高くなる.北部秩父帯から得たK-Ar年代は108.5±2.4Maを示す.調査地域の南部および北部秩父帯は,両帯ともにその堆積年代が構造的下位に向かって若くなる.つまり調査地域の北部秩父帯は,南傾斜・南上位を呈し,構造的下位に向かって変成度が高くなる.
|