研究課題
本研究によって,「恐竜の食性復元」と「鳥類の起源」という2つの大きなテーマに沿った研究が実現した.獣脚類恐竜の鳥類進化において,植物食化が大きな鍵となり,これまで認識されていた以上に,植物食性の多様化が行われていたことが判明した.その多様化が顕著に現れていたのが,テリジノサウルス類とオルニトミモサウル類である.テリジノサウルス類は,アジア・米国の白亜系から発見されている,特異な獣脚類恐竜だ.今回の研究により,その植物食性が選りすぐれていた物であり,典型的な植物食の鳥脚類や角竜類に見られる特徴に類似し,顎をかみ合わせたときに,その衝撃に耐え植物繊維を擦りきりやすいようになっていることを明らかにした.これをPlosOneに論文として出版した.また,オルニトミモサウルス類も,テリジノサウルス類同様に,主にアジア・米国の白亜系から発見されている植物食の獣脚類恐竜だ.テリジノサウルス類と異なり,非常に保守的な進化をし,数千万年に渡ってその基本的構造を変えていない.しかし,私たちの新しい発見により,オルニトミモサウルス類も植物食性に伴って多様に進化していることを示唆した.これは,Natureに論文が出版した.さらに,骨格には表されていないが,体毛(羽毛)にも植物食獣脚類の多様性を示唆した.カナダ・アルバータ州から発見されたオルニトミムスの標本を研究し,翼の起源を明らかにした.北米大陸初の記録となり,また翼を持つ獣脚類として最も原始的な記録となった.翼の形成が性成熟のタイミングと合っていることから,獣脚類における翼の起源は,繁殖行動にあると考えられた.これらの内容をScienceに論文出版した.その他,多くの研究を行ってきた結果,非鳥類型獣脚類が鳥類に進化するにあたって,鳥類起源において食性の多様性が重要であることがわかった.今後は,この多様性の現象をより詳細に調べていきたい.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件)
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