本研究によって,「恐竜の食性復元」と「鳥類の起源」という2つの大きなテーマに沿った研究であった.獣脚類恐竜の鳥類進化において,植物食化が大きな鍵となり,またこれまで認識されていた以上に,獣脚類恐竜に植物食性の多様化が行われていたことが判明した.その多様化が顕著に現れていたのが,テリジノサウルス類とオルニトミモサウル類である.テリジノサウルス類は口内消化と消化器官の発達,オルニトミモサウルス類は胃石と筋肉質な胃と,それぞれ異なった手法によって植物食性を実現させた.この植物食性に対する多様化が,種と生態の多様化に繋がり,鳥類の起源へと導かれていったと考えられる.
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