オルドビス紀中期の生物多様性の爆発的増大が、遠洋・深海においても起きていたかを検討するために、時代の明らかな世界の放散虫チャートの生痕化石を調査した。その結果、カンブリア紀後期ではパンタラッサ海堆積物であるオーストラリア、ラクラン褶曲帯では生痕化石は確認できたが、テチス海堆積物のカザフスタンでは見られなかった。一方、オルドビス紀中期ではイアペタス海堆積物を含め、調査した5地域全てで明確な生痕化石が確認できた。 カンブリア紀後期で地域差があったのは、堆積環境の相違による。カザフスタンの赤色系チャートでは酸素は十分あったが、食料が不足していたため底生生物は遠洋・深海に進出できなかったのだろう。
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