研究課題
第四紀のグローバルな気候変動に対して,サンゴ礁はどの様に分布域を拡大・縮小させてきたのか?本研究は,千年スケールの気候変動が顕著な海洋酸素同位体ステージ3に注目して,サンゴ礁の北限に近い琉球列島喜界島に分布する4万~6万年前の化石サンゴ礁を対象に,(1) サンゴ礁堆積ユニットの認定,(2) 各ユニットを構成する化石サンゴ群集の調査,(3) 各ユニットの高精度ウラン系列年代測定(国立台湾大学との共同研究)を行い,「千年スケールの気候変動に対する造礁サンゴとサンゴ礁の時空分布変化」の解明を目指している.研究最終年度は,昨年度後半から引き続き,大規模は土地改良に伴って新鮮な露頭が露出した喜界島南西部で,集中的に現地調査を行った.その結果,主に調査を行ってきた島北東部で確立した上部更新統琉球層群の岩相層序(サンゴ石灰岩/ロドリス石灰岩/細粒砕屑性石灰岩)と同様の層序が確認され,加えて,ロドリス石灰岩の下位に,北東部では確認されていない太枝状コケムシの密集層を発見した.その上で,サンゴ石灰岩について(1)~(3)の調査を行い,予察的ながら,5~6万年前のサンゴ石灰岩が不整合面で境された複数の堆積ユニットから構成されること,その中でも温帯域サンゴ種の割合が高い堆積ユニットが島全体に分布している(従来は1ヶ所のみ)ことが明らかになってきた.これらの結果は,千年スケールの相対的海水準変動に対応してサンゴ礁が断続的に成長したことに加えて,海洋環境の変化に従いサンゴ群集に変化が起きたことを示唆する.
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of Geophysical Research: Oceans
巻: 121 ページ: 4-13
10.1002/2015JC011109
Marine Geology
巻: 373 ページ: 49-54
10.1016/j.margeo.2016.01.007
月刊海洋
巻: 56 ページ: 9-15
巻: 56 ページ: 27-35