「光合成に依存していると考えられていた深海生態系に、化学合成の貢献はどの程度あるのか」を、さまざまな環境の深海底で炭酸固定量を現場測定することで明らかにした。添加した無機炭酸からの有機物生産量は海域ごとに大きく異なり、相模湾漸深海帯で最も高く、深海平原ではほとんど検出されなかった。また、炭酸固定を行うと期待される微生物の存在量と炭酸固定量との間には明確な相関は見られなかった。相模湾における海底での有機物生産量を定量化すると、沈降有機物供給量の1-2%を占める。沈降有機物が難分解性の有機物で占められることを考えると、海底で微生物により生産される有機物の役割は無視できない量であろう。
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