研究課題/領域番号 |
24540506
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
菅原 透 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40420492)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シリケイトメルト / 熱測定 / 起電力測定 / 溶解熱測定 / 熱力学 |
研究概要 |
本年度はシリケイトメルトに対する微小電気化学測定セルを用いたNa2O活量の迅速測定法の開発,並びにエンタルピーを得るための溶解熱測定に関わる基礎的な試験を行った. まずはじめに,起電力法によるNa2O活量測定に関して従来法の欠点を改善する新たな微小電気化学測定セルを開発した.質量100-200mg程度(従来法の約200分の1)のSiO2-Na2O-Al2O3系試料ガラスおよびSiO2-Na2O系参照用ガラスをそれぞれ直径0.3の白金線で縛った後に溶融して直径5mm程度のガラス球を得た.それぞれの下端を白金箔を巻いたアルミナ管で接続した.これらの操作は酸素バーナーを用いて10分程度で行うことができる.このセルを電気炉に入れ,測定試料と参照試料それぞれに結ばれた白金線電極の間の起電力を測定した.炉内に設置後,試料が温度安定になるのとほぼ等しい10分程度の時間以内(従来法の約50分の1)に安定した起電力が得られた.測定後のガラスをEPMA分析して化学組成を測定した.この方法により測定されたSiO2-Na2O-Al2O3系およびSiO2-Na2O系メルトのNa2O活量は既報の値とよく一致することを確認した. シリケイトガラスの溶解熱測定に関して,今年度はフッ化水素酸へのガラスの溶解度を系統的に調査した. SiO2-Na2O-Al2O3系とSiO2-Na2O系のガラスとMgOを12mol%まで含有するガラスは速やかに反応し,溶解熱測定を繰り返して3回実施するのに十分な溶解度を有する.一方,CaOを含むガラスほとんど溶解せずCaF2が結晶化すること,Enstatite組成のガラスはHFに溶解せず,またフッ化物も形成しにくいことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
起電力測定法の開発においてはいくつかの問題点に直面したが,実験方法の工夫が短期間で飛躍的にすすんだことで順次解消され,当初の予想よりも早期に目標を達成させることができた. 溶解熱測定に関しては測定装置の開発が遅れているが,H24年度の溶解度測定の結果からSiO-Na2O-Al2O系に関しては反応が速やかに進行し,フッ化物が飽和するCaO含有系に関しても結晶相に対する測定値との差を求めることでエンタルピーの絶対値が得られる見込みが得られた.これらのことからH25年度においては溶解熱測定に関しても順調に進めることができると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
ガラスの溶解熱測定装置を製作し,溶解熱測定を進める.フッ酸への溶解度測定を行ったのと同様のSiO2-Na2O-Al2O3系とSiO2-Na2O系のガラスで試験測定を行い,測定精度を確認した後に測定を開始する.測定はまずはじめにNaAlSiO4ガラスおよびNepheline結晶,CaSiO3ガラスとWollastonite結晶について溶解熱測定を行い,それぞれの結晶の融解熱を決定するとともに,既報の値の比較と再評価を行う.続いてSiO2-Na2O-NaAlSiO4系,SiO2-Na2O-CaSiO3系に対して落下熱量測定を行い,測定後のガラスに対して順次溶解熱測定を実施する.得られた混合エンタルピーを関数近似してNa2Oに関する部分モル量を求め,既報のNa2O活量値と組み合わせてiO2-Na2O-Al2O3系およびSiO2-Na2O-CaO系のメルトにおけるNa2Oの部分モルエントロピーを計算して,その組成依存性とメルト構造の関係について考察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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