研究課題
前年度、世界で初めてヘグボマイトの合成に成功した。そこで今年度は、この実験条件と実験結果を詳細に見直すところから研究を開始した。出発物質の水の含有量が重要であることが解ってきたため、出発物質の含水量を詳細に検証した。その結果、含水量が14wt%程度の実験で、ヘグボマイトが形成されている事が確認された。しかし結晶が小さく、結晶構造解析は困難であった。化学組成から推定すると「2N4S」よりもスピネルモジュールが多い、別のポリタイプのヘグボマイトが出来ているようである。これについては9月14日に地質学会で口頭発表をした。また、天然のヘグボマイト含有岩の解析から、ルチル以外のチタン含有鉱物との共生関係も重要であることがわかってきた。この解析のために、1月に西オーストラリア大学に行き、鉱物の微量元素分析の準備作業と研究打合せをおこなった。本研究の出発物質の化学組成では、結晶の成長速度が遅く、大きな粒子をつくりにくい。さらなる解析のためには、化学分析や結晶構造解析に耐えうる大きな粒子のヘグボマイトを合成する必要がある。また、これまでは主に750MPaで実験をおこなってきたが、この圧力条件での反応曲線の位置が明らかになりつつある。そこで反応曲線の傾斜を明らかにする目的と、大きな結晶を得るために、1GPaで31日間保持する実験を敢行した。この時の実験生成物は現在解析中である。この解析が終わり次第、結果を公表する予定である。
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