研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ピナツボ火山に産するかんらん岩捕獲岩の岩石組織・鉱物の化学・同位体組成を求め、火山フロント直下のマントルウェッジかんらん岩と流体やメルトとの反応の実態を解明することを目的とする。本年度は、フィリピンピナツボ山において、連携研究者の小林哲夫氏・荒井章司氏とともにフィールド調査を行い、約200試料のかんらん岩やはんれいがん類捕獲岩を採取した。そのうち約50試料の薄片を作成し、荒井章司氏とともに鏡下観察を行った。また、以前より所持している9試料のうち、交代作用の程度が最も少ない試料について岩石および流体包有物の記載を行った。得られた成果は、Proceedings of the National Academy of Sciencesに投稿中である。また、比較的粗粒な角閃石を含む5試料中の角閃石の微量元素組成を求めた。その結果、初生的な角閃石と2次的な角閃石は微量元素組成パターンが類似するものの、濃度が異なっていて、2次的な角閃石はより低温のより薄い流体から形成されたことが推測された。
2: おおむね順調に進展している
本年度はかんらん岩捕獲岩試料の採取と産出状況の確認が主な目的であったので、約200試料の採取がなされ、その目的は十分に達成された。
採取した全試料の薄片を作成し、かんらん岩捕獲岩のタイプ分けを行い代表的な試料を選び、その鉱物の主成分元素組成分析を行う。角閃石の微量元素分析を行い、角閃石を形成するのに関わった媒体物がかんらん岩中を浸透していく際の元素分化を議論する。また、得られた角閃石の微量元素濃度にもよるが、化学組成の類似した角閃石毎にSr-Nd同位体分析を行うことができれば、同位体組成変化を測定し、角閃石形成にかかわった媒体物の起源について検討する。得られた知見は国内・国際学会にて報告する。
該当なし
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