研究課題/領域番号 |
24540512
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 清士 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00283862)
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研究分担者 |
和田 穣隆 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00252825)
芳野 極 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30423338)
市來 雅啓 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80359182)
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キーワード | 溶融 |
研究概要 |
本申請では、これまでの研究からさらに一歩踏み込み、含水岩石を脱水させた際の電気伝導度を測定するだけでなく、岩石が溶融した際の電気伝導度もその場観察する。従前に収得した無水岩石・無水鉱物の電気伝導度と対比から、脱水量や脱水した流体の塩濃度だけでなく溶融の度合いまで見積もる事を計画した。地球内部の水・流体及び溶融に関しては、未解明な事が多く、これまで申請者等が行ってきた研究の連結により、定量的な解釈が発展する。同時に、脱水・溶融実験から得られたデータをもとに、地球内部の脱水・溶融過程を電気伝導度からモデル化する事にも挑戦する。岩石の電気伝導度を測る事は、室内実験において物性の弾性波速度を測る事と独立して地球内部物性の研究に多大な貢献ができる。又、岩石内部の流体や溶融の定量的な存在比率が明確になれば、地震発生場の水・流体及び火山体のメカニズムが解明される。本研究とこれまで蓄積されてきた研究成果は、地球内部の電気伝導度構造を総合的・系統的に解釈する上での両輪となり、必要不可欠となる。国内外を含めてこのような総合的研究は新しい試みである。電気伝導度測定の実験手法と電気伝導メカニズムの解明が進展すれば、地球内部に関する研究が飛躍的に進歩する。本研究を遂行することは、地球深部構造研究に新たなる研究分野を切り開く事になり得る。現在までに溶融に伴う電気伝導変化を捉える予備実験が終了しており、含水条件を変えた本実験に移行する段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は地殻内部で実際におこりうる溶融過程を想定した高温・高圧実験を行う予定であった。この際、 試料内の空孔、そこに含まれる水の厳密な定量評価をしなくては,真の電気伝導度測定値を得ることはできない。その為に、単結晶を用いた試料封入ケース内の反応が完全な“閉じた系”を作りだすことができるように完成させる予定でもあった。しかしながら、申請者の転籍(佐賀大学から大阪大学へ)に伴い、予備実験から本実験に本格的な移行ができなかった。平成26年度は溶融の電気伝導度測定実験を行本格的に行なう事を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は火山体下の溶融メカニズムを解明する実験を本格的に実施する。効率良く実験を遂行するため、岩石内での溶融の状態をモデルシュミレーションで探りながら実験を遂行することが求められる。現実の含水岩石内の電気伝導度ネットワークモデルの構築に同時に着手しているので、この結果を用いる。単結晶カプセルを改良し、測定電極及び測定用ケーブルを取り出すさらなる工夫をし、溶融時の電気伝導度の測定を精力的に行う予定である。試料としては溶融点の低い流紋岩を使用する事を想定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請者が佐賀大学から大阪大学へ転籍したため、本実験を当初の計画どおり遂行できなくなったため。 平成26年度には、追加の予備実験及び本実験を遂行し、消耗品、旅費(実験のため、研究打ち合わせ)を執行予定である。
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