地球の化学進化を理解するため、代表的マントル鉱物であるカンラン石中のリチウムに注目し、深部マントルとプレート運動によって運びこまれた表層物質との間の相互作用の解明を目指した。 単純系での同位体分別係数を実験的に決定し、天然のマントルカンラン岩を分析した結果、水流体との間で同位体分別したカンラン石は、含水量が高いことがわかった。このことは、水流体との反応でカンラン石に固定されたリチウムの同位体組成は、地質学的時間規模でマントルの高温条件に置かれても保持されており、そうした同位体分別とプレート運動による物質循環が繰り返されることによって、表層とマントルの間での化学分化が進んできたことを示唆する。
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