研究課題/領域番号 |
24540518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石丸 聡子 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (60464046)
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研究分担者 |
荒井 章司 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (20107684)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マントルウェッジ / 地球化学 / 岩石学 / 交代作用 |
研究概要 |
マントルウェッジにおける流体や珪酸塩メルトによる元素移動過程,特に白金族元素を含む遷移元素の移動(除去・濃集)過程の解明を目的とし,2012年度は既に解析をすすめていたカムチャツカ弧のアバチャ火山に産するマントルかんらん岩の機器分析に加えて,カムチャツカ弧の他の火山に産するマントルかんらん岩の解析をおこなった, かんらん岩捕獲岩中に観察される流体は,アバチャ火山ではH2Oを主体とするものが優勢であったが,他の火山ではH2Oを含むものも観察されるが,むしろCO2を主体とするものが多いという結果が得られた.このことは,同じ火山フロント下でもマントルウェッジ上部に到達する流体の性質が異なり,それに伴ってマントルウェッジの下部から運搬される物質(元素)が異なっていることを示唆している. 更に,オマーンオフィオライト底部のかんらん岩の解析を開始し,底部に形成されたメタモルフィックソール形成時に放出されたと思われる流体による交代作用の検討も開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで解析をすすめてきていたアバチャ火山のかんらん岩捕獲岩については,引き続き順調に処理をすすめているところである.カムチャツカ弧の他の火山由来のマントル捕獲岩の試料の入手にやや手間取っているが,以前に入手したシベルッチ火山のものやベズミヤーニ火山のものの解析をすすめている, また,マントルウェッジで発生する初生スラブ流体を捉えるためのオマーンオフィオライトの底部かんらん岩の解析も順調にすすんでいる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続きカムチャツカ弧のマントルかんらん岩捕獲岩を使って,マントルウェッジ内で活動している流体やメルトの性質と組成決定をおこなう.また,今年度はフィリピン,ルソン弧の火山フロントに位置するイラヤ火山の現地調査をおこない,それによって採取された捕獲岩の解析を開始する. 加えて,島弧リソスフェアの断片であると考えられているトルコのオフィオライトについて,新たに野外調査をおこない試料を採取し,マントルウェッジにおける流体やメルトによる交代作用について検討をおこなう.この際,特に微量元素を濃集しやすい単斜輝石や角閃石に注目して解析をおこなう.流体包有物が観察される場合には,その相同定と微量元素濃度測定をおこない,流体などによって運搬される微量元素の移動について検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度にはカムチャツカ半島における野外調査ができず,使用を計画していた基金の一部を繰り越すことになった.カムチャツカ半島での野外調査が可能な時期は限られているので,その日程調整をおこないつつ,可能であれば野外調査をおこなう.現地調査が難しいようであれば現地受入研究者と連絡をとりあい,試料の郵送を依頼するなどして試料を入手する. 今年度は,繰り越した基金の一部と今年度配分予定の基金を使用して,トルコのオフィオライト調査およびフィリピン,イラヤ火山の調査をおこなう.
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