今後の研究の推進方策 |
今後平成24年度に得られた検討結果、試料の準備状況から、以下3点を行うことを考えている。 1)まず実験装置の改良を行う。主な改良点は現在のところ酸素分圧が0.05程度までしか下がらないことから、装置の気密性などの改良を考えている。また、ソックスレー抽出器の抽出部(反応部)内に人工雨が満たされている時と流れ落ちたときとでは、若干温度が変動するので55℃±数℃以内になるように調整する。2)水―岩石および鉱物との反応実験を本格的に始める。初期地球の主な地殻構成物質玄武岩質岩を対象とし、水―岩石との相互作用について検討する。反応温度は地表付近の温度の範囲内で一定とする。実験期間は24カ月以上を考えている。岩石鉱物試料および試料溶液のサンプリング間隔は、3日~数カ月ごとに行う。人工雨の種類として、原生代大気組成と平衡な人工雨としてCO2飽和水、さらにpH4の硫酸、塩酸および硝酸溶液、蒸留水(参照用)を考えている。3)試料溶液の検討:定期的に採取する溶脱元素を含む試料溶液はICP-MSにより主要、微量元素の分析を行う。測定対象元素は主成分ではSi, Al, Ca, Na, K, Fe, Mg, Mnなど、微量元素ではSc, Zn, Sr, Co, Y, Pb, Rb, Ce, La, Ba, Sm, Niなどで標準試料の準備も行う。なお、分析限界を考慮し、一部は外部に分析依頼する予定である。4)野外での変質状況の調査行い、採取した岩石鉱物試料の風化状態の観察およびサンプリングを行い、水簸およびピッキングにより変質鉱物の分離を行う。
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