研究課題/領域番号 |
24540523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
飯高 敏晃 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 専任研究員 (60212700)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 地球惑星科学 / 惑星大気 / 希ガス / キセノン化学 / 高圧 / 籠状物質 / 結晶構造探索 |
研究概要 |
Xe-SiO2系の探索を行った:まず、シリカ(SiO2)は、メラノフロジャイト、千葉石など籠状結晶(シリカ・クラスレート)を作ってガスを内包することが知られているので、この籠状結晶にXeガスが捕捉されている可能性について探索した。シリカ・クラスレートの結晶構造は、クラスレート・ハイドレート(ガス・ハイドレート)と同型であり、二つの物質群の間にはSiO2四面体構造とH2O四面体構造の置き換えによる対応関係が存在する。これまで、この対応関係は構造sIを持つメラノフロジャイトのみ知られていたが、構造sIIを持つ千葉石が発見され一般的に成立することが示唆された。メタン・ハイドレートは、2GPaを超える高圧力下で構造Hの籠状構造から、さらに密度の高いfilled ice構造へと相転移することが知られている。一般に籠状結晶は、(ガス分子を内包したとしても)結晶内の隙間が大きく密度が低いので、高圧下ではエンタルピー的に不利になる。そして、より高密度のfilled ice構造へ相転移する。そこで、シリカ・クラスレートも同様に高圧ではfilled Ice 構造類似の高密度構造として安定に存在する可能性を検討した。各種密度汎関数を用いた第一原理分子動力学計算により0GPa~20GPaの圧力範囲でXe含有シリカ・クラスレート各種多形の非熱的エンタルピーを計算した結果、この条件下ではXe含有シリカ・クラスレートはXe結晶とシリカに分解した状態に比べて熱力学的に不安定であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既知の籠状結晶の高圧相転移からの類推によるXe含有シリカクラスレートの探索を行うことができた。そして、0GPa~20GPaの圧力範囲ではXe含有シリカ・クラスレートはXe結晶とシリカに分解した状態に比べて熱力学的に不安定であることが分かった。ただし、結晶構造予測法による探索を行うまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、今年度行うことができなかったXe含有シリカ・クラスレートの結晶構造予測法による探索を行う。 さらに、従来の計画通りXe-Fe系の探索を行う。Xe-Fe系は155GPaまで実験的に探索されているので、とくに155GPa以上から地球中心部の圧力である400GPaまで探索する行う。理論研究としては、申請者の知る限り、核の条件下でのXe-Fe固溶体の可能性を探究したものがあるのみだけである。本研究では、[Xe]n[FeSi]O2]mの化学組成を持った結晶構造を第一原理結晶構造探索法により探索する。ただし、計算時間の制限により実際に探索できるnとmは、小さな値に制限される。
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次年度の研究費の使用計画 |
実施が本年度から次年度にずれた「Xe含有シリカ・クラスレートの結晶構造予測法」に必要な計算機設備を購入し、相応の計算補助にかかる人件費も支出する。もともと次年度に予定されていた消耗品、旅費、謝金等は計画通り使用する。
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